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第86回 1、被災地支援で学ぶ 復興に向け託された命

大正大学学長多田孝文

(2012.04.24~2012.05.15)

  • 1、被災地支援で学ぶ復興に向け託された命
  • 3、教育再生の時日本の心、文化の体得を
  • 2、自然が育む国民性善き精神文化の再生を
  • 4、情操教育のすすめ尊い生命の中にある徳性

今年は、春の訪れが遅く感じた。4月1日の本学の入学式には、まだ桜花二、三輪ほどの冷たさだった。自然も日本の不安な世情を察しているのだろうか。

東日本大震災から1年、各地での慰霊の催しが報道され、東京では、ご病身を押して両陛下もお言葉を下された。

本学では4月11日、学生僧の発願によって一周忌慰霊の法要が厳粛に営まれ、全学を挙げて香華を奠じ追悼、併せて被災地復興、日本再生を誓願した。

昨年3月11日、突如として東日本を襲った災禍は、名状し難き凄惨なものであり、国の内外の人々をして戦慄の思いを起こさないものはなかった。大地震・大津波は、たちまちにして無量の尊き生命を奪い、関係者すべてを無限の悲しみ、痛み、苦しみなど絶望のふちに沈めた。

加えて原発放射能の禍は、今、人事の過失を責めても及ばず、利便を良しとしてきた浅見に悔いが残るばかりである。

昨年本学では、震災の直後、学事日程を変更して、教職員、学生一丸となって、組織的に支援活動を決行した。被災地での支援活動は、一関・中尊寺をはじめ、多くの縁故機関の協力を仰ぎ、縁あって宮城県南三陸町を拠点として取り組ませていただいた。「智慧と慈悲の実践」を建学の精神に掲げる本学の社会的責任からすれば、必然な流れであった。

実は、意気込みと不安の入り混じった気持で現地に入った時、被災地の方々は、悲しみの極限の状況であろうに「生かされ託された命、後は振り向かない、必ず素晴らしい故郷に復興する。これからも度々訪れてくれ、様子を見て学んでくれ」と口々に力強く語られたのである。

平和で豊かな日本のどこに、このような力強い不思議な力があったのであろうか。この時より本学全体の雰囲気が一変した。この不思議な力を持つ人々と、いつまでも共にあって学び続けたい。