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第89回 1、サンガの伝統 組織的支援なぜ不得手

東京大学教授蓑輪顕量

2012.07.31~2012.08.28

  • 1、サンガの伝統組織的支援なぜ不得手
  • 3、災害の現場で理論よりも他者への共感
  • 2、宗教者の支援活動蓄積したノウハウ共有を
  • 4、洗わせていただく足湯奉仕が問う精神性

昨年3月11日の大震災は、未曾有の出来事として私たちの記憶に刻まれた。地震の起こった日からしばらくの間は、日本全国が何となく重苦しい雰囲気に包まれていたが、被災した地域の人々に思いを馳せ、何とかしなければと、さまざまな行動を起こした宗教者の方々が、沢山おられた。

仏教界も震災に対して多大な支援を行ってきたが、宗門が救援の組織を作って支援を行うようになるまでには相当の時間がかかっていたように思われる。かわりに教区や個別の寺院単位で、あるいは青年会などの組織における迅速な活躍が目立った。特に既成教団の青年会の活動には目立ったものがあった。

ところで、何故、仏教系の教団は、組織的な支援が不得意なのであろうか。考えてみると、それは仏教が内包しているサンガの伝統に起因しているのかもしれない。

仏教教団は本来サンガを二つに区分する。それは現前サンガと四方サンガとである。現前サンガは、個別の寺院を単位としたサンガであり、四方サンガはそれらの集合体である。現代社会では、四方サンガは宗門(その代表は宗務院だろうか)に相当すると言えよう。

サンガの伝統では、具体的に活動を行うのは現前サンガであり、四方サンガは意識的な連帯に過ぎない。それが活動の主体になることは殆ど見られない。これは現代の中国や台湾、東南アジアの伝統的な仏教界を見るとよく分かる。さまざまな活動が現前サンガ、すなわち個別の寺院単位で行われていることが多いのである。

台湾においては、教団といえるような連帯感を持った門派が出現し、数十カ寺を一つの単位として動くということも出現しているが、それは最近の出来事である。そのような集団として仏光山、中台禅寺、法鼓山、慈済功徳会などを挙げることができる。それらは現前サンガを超えて、一つの連合を形成するようになってきている。