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第94回 1、「無縁社会」の出現 「誤用」と指摘しないのか

現代における宗教の役割研究会事務局長佐々木正典

2013.02.19~H25.03.19

  • 1、「無縁社会」の出現 「誤用」と指摘しないのか
  • 3、仏縁無き衆生 全ては有縁のしがらみ
  • 2、仏教語の多義化 正反対の解釈、放置できない
  • 4、日本再生へ 仏の無縁の大悲を再発見

一昨年の3月7日(東北地方太平洋沖大震災の4日前)、上野千鶴子さんとある内輪の研究会で再会した。「伝道院」で「阿弥陀さんってカオスでしょう」と言われて煙に巻かれて以来である。

上野さんは、生涯、社会学の中立性と客観性と戦い続け、徹頭徹尾「おひとりさま」を離れないリアリストとして、前人未踏の臨床社会学の道を切り開いた例外者(Ausnahme)である。

わが生涯、近代教学と決別し、宗門世俗化論、宗門習俗論、宗門儀礼論と悪戦苦闘し、臨床真宗学の樹立なくして、宗門の明日は無いといって死んで往く身にとって、上野さんとの再会は信心歓喜の一夕であった。

上野さんは、超高齢化社会の日本で『おひとりさまの老後』「おひとりさまの最期」などで、孤独死ではない在宅平穏死を語り、わたしにおひとりさまの生き方死に方、老後の楽しみ方の醍醐味を堪能させてくれた。

上野さんは1988年『「女縁」が世の中を変える』で、地縁・血縁・社縁が崩壊しつつあったのを見通して、「女縁社会」を創ったが、いまやその勢いは益々増している。それに比して男共、いまや国中、男性更年期障害者で溢れ返り、男縁社会を創る気力もなく、いまや男性問題が社会の最大問題になり「男はつらいよ」の世になりにけり。

研究会で上野さんがわたしに向かって、NHKが〈無縁社会〉という今までに無かった日本語を捏造したが、それを仏教者や宗教学者で追随する方まで出ているようですが、この若いであろうNHKのディレクターのなんたる不勉強・非常識。日本が仏教国とおっしゃるのなら、この世は仏の無縁の大悲に包まれている「有縁社会」ですよ。NHKさん、縁がないから〈無縁社会〉だなんて乱暴な命名はあまりにも短慮な振る舞い、〈無縁社会〉の命名は『無縁』の誤用ですよと、どうして教えてやらないのよと睨みつけられたのである。