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第100回 1、クモの巣はらって 一人一人を大切に迎える

土生神社・矢代寸神社宮司阪井健二

2013.09.10~2013.10.08

  • 1、クモの巣はらって 一人一人を大切に迎える
  • 3、無関心と向き合い 被災地と共に歩む大切さ
  • 2、山古志の体験 伝統文化に守られている
  • 4、神ながらの道 生きることを絶対肯定

私が土生神社の宮司に就任して今年でまる10年となりました。それまで同じ岸和田市内でも市の中心部にあって広い地域から信仰されている神社で生まれ育った私は大学卒業後、実家の神社で宮司である兄のもとで禰宜として奉職しながら自分の道を求めて悶々とした15年間を過ごしていたのです。

縁あって地域的に隣りあう神社に宮司として迎えて戴きましたが、収入源の乏しい地域の神社で就任当初は社務所に住みながら実家の神社に通う日々でした。しかしある時参拝に訪れた友人から「賽銭箱にクモの巣が張っていた」と言われたのがショックで、クモに神社の留守番をさせてはいけないと思い実家の神社に通うのをやめ、拝殿のクモの巣をはらって授与所として毎日座って参拝者を迎えるようにしたのです。

すると初めの頃は参拝者から「今日はお祭りですか?」とか「今日は何かあるのですか?」とかよく聞かれました。ふだんひっそりとしていて参拝者の少ない地域の神社では、それまで毎月拝殿を開けて宮司が座っていることは考えられなかったことかもしれません。それが時がたつにつれて当たり前の光景になり、「今日はお祭りですか?」と尋ねられることもなくなりました。

当初は気負いもあって地域の神社の参拝者をもっと増やし盛り上げようとがむしゃらに頑張る気持ちが強かったですが、空回りするだけで思うようにいきませんでした。しかし地域の神社を大切に思ってお参りされている人の姿を見ていると、数を増やすことよりも一人の参拝者を大切に迎えることが地域の神社を守る私の大切な仕事だと感じるようになりました。いつも一番身近で地域の人々を見守っている地域の神社(氏神様)の存在を感じて戴けるように、日々の奉仕を大切にしたいと思う10年の節目です。