ニュース画像
門信徒大会で基調講演を行う内藤勧学
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> 時流ワイドリスト> 大寺院は都市防災の拠点
時流ワイド

大寺院は都市防災の拠点(3/5ページ)

2012年9月20日付 中外日報

避難所として期待 火災の不安は強く

延焼シミュレーション

火災発生後の建物間の延焼の要因としては、火災建物からの輻射による熱伝導、風下に形成される熱気流と飛び火が挙げられる。

報告書は東京消防庁が作った「延焼速度式」を用い、火元場所、風速、風向きなどをさまざまに想定して、妙心寺境内と周辺市街地で発生した火災の延焼をシミュレーションした。

これによって、市街地も含め妙心寺の北東部、北西部で特に隣接火災の延焼危険度が高く、境内に限定すれば中心軸付近の南北方向が「火をもらい易い傾向」にあることが分かった。

周辺住宅地との関係を見るならば、風速4メートル/秒程度でも、北や北西の火元から火が境内に入りやすいという結果が明らかになった。報告書は「市街地と境内との間に延焼を抑止する対策が必要」と論じている。

妙心寺山内と住民の意識

調査の一環として22年10月に妙心寺周辺の住民を対象にアンケートが実施された。配布千に対し回収数は267だった。

「妙心寺を災害から守る必要性」という設問には90%が必要を感じると答え、地域住民の間で妙心寺の重要性が認識されていることを示した。

大規模災害発生時の避難場所に予定している先は、地元中学校に次ぐ第2位で16%。ただし、大部屋や井戸などを備える妙心寺山内を避難所として利用することを期待するか、という問いには65%が「期待する」とした。

妙心寺に一時避難した場合、初期消火や人命救助、文化財の搬出などに協力すると半数近くが回答している。妙心寺との合同防災訓練があれば参加するとした住民が54%に達したことも注目される。

塔頭側の意識は

これに対し46の塔頭を対象に実施したアンケート(回答率100%)では、災害時の対応に深刻な不安があることが明らかになった。

地震時等の火災に対する現有防災設備の評価は「非常に不安」が41%を占め、不安、やや不安を加えると98%になった。妙心寺本山の防災組織については、知っている・ある程度知っているが65%だったが、防災訓練には「できれば参加したくない」が70%に達し、消極的な姿勢が見られた。

大規模災害時に塔頭の一部を市民に開放する可能性については、「全ての空間を提供できる」とした塔頭が13%で、63%が「一部の空間を提供できる」と答えた。塔頭が提供可能な部屋数(本堂・書院等)は回答を累計すると119室、1286畳となった。

大本山妙心寺

大本山妙心寺は旧・平安京の右京北西端に位置する。京都御苑のおよそ半分、約31ヘクタールの境内地を持ち、46の塔頭を擁する。周辺地区は比較的新しく宅地として開発されたところが多く、アンケートでは居住30年以下が58%(15年以下は41%)を占めた。塔頭は昼間常住人数148人、夜間は168人。46の塔頭のうち国指定の重要文化財建物を持つのは7、京都府・市指定は12、史跡・特別名勝・名勝庭園5で、指定なしは29(複数回答)。