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時流ワイド

大寺院は都市防災の拠点(5/5ページ)

2012年9月20日付 中外日報

私はこう思う

土岐憲三・立命館大教授

京都では花折断層などが動いて内陸型の地震が起きたとき、火災が一番恐ろしい。1830年の京都大地震はマグニチュード6・5の直下型で、多くの犠牲者が出た。それ以来幸運にも大きな地震はないが、過去1世紀で京都の町は大きく変わっている。

100年前、あまり人が住んでいなかった千本通(平安京メーンストリートの旧・朱雀大路)から西にも、今は人家が密集している。大地震が発生し火事が市街各所で起これば消防車では対応できず、京都の文化財も火災で一挙に失われる可能性がある。

南海トラフの海溝地震より先に起こると考えられる内陸地震に備え、宗教界をはじめ幅広い人たちの理解と協力で地域全体の防災を考え、具体化してゆく必要がある。

土井克彦・妙心寺派法務部長

報告書を読み、大地震などの発生を想定した防災工事の必要を痛感した。

境内に耐震貯水槽を2~3カ所設け、共同溝や消火配管を整え、自動火災報知機などを整備するには全体で二十数億円の事業費が必要。国などの補助を期待しているが、境内全域の防災を考えるなら、文化財のある塔頭だけに補助金を出す形では足並みがそろわない。防災のため効果的な補助を検討してほしい。

また塔頭の和尚たちにも地域全体の防災という考え方をより深く理解してほしいと思う。

下間久美子・文化庁文化財部文化財調査官

昭和40年代以降、周辺の市街地化が進み、火除け地など新たな防災対策が必要になった寺院は多い。妙心寺は特殊な例ではなく、調査は文化財防災上、普遍的な問題を含んでいると考えている。

この調査はパイロットケース。報告書を踏まえて防災施設事業の展開を図り、そこから得た経験を同様の課題を持つ重要文化財に生かしていければと思う。

重文建造物に関しては指定物件から20メートル以内の建物を「近接建物」と位置付け、一体的な防火対策を図ってきたが、防災事業の効果がより高くなるよう有識者と共に検討してゆきたい。