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時流ワイド

認証制度の意味を問う(2/4ページ)

2012年10月20日付 中外日報

設立認証の「3年ルール」とは何か 宗教法人法の柱となる認証制度

宗教法人法は認証制度、責任役員制度、公告制度を三つの柱とする。宗教法人は法務局での設立登記によって成立するが、その前に所轄庁から、法人規則の記載や設立の手続きが正当であることを確認、証明される、つまり「認証」を受ける必要がある。この認証の「厳格化」が最近、指摘されている。それを象徴するのが、宗教法人法に根拠がない設立認証「3年ルール」だ。ある宗教団体がいま3年ルールの壁に挑戦している。(津村恵史)

「宗教団体」性の確認 原則と指導の間で翻弄

会堂完成を知らせる八幡ぶどうの木教会のホームページ
会堂完成を知らせる八幡ぶどうの木教会のホームページ

ここで取り上げるのは日本基督教団京都教区に所属する八幡ぶどうの木教会(千葉宣義牧師、京都府八幡市)。昭和30年に伝道所として設立、教会員三十余人の小さな教会だ。独立の教会施設がなく、教会が設立した保育園のホールを会堂に充てていたので、法人格を持っていなかったが、教会員の要望で礼拝堂・集会室として用いるため民家を購入することを決定した。この民家を改造して会堂が完成したのは平成22年8月。土地建物取得、改造には3500万円を要した。

土地建物は法人登記後に教会へ譲渡する前提で、千葉牧師が個人名義で取得した。日本基督教団の特別財産として土地建物を登記する方法もあるが、手続きも難しいため、急いで法人格取得の準備を始めた。税務署からは、1年以内に宗教法人の登記を終えれば、不動産取得税は返還される、との通知もあった。

千葉牧師が京都府文教課を訪ね、宗教法人担当者に設立認証の申請に関して面談したのは同年3月19日。この時、「宗教法人法で規則の認証・不認証の決定は受理後3カ月以内、とされているが、急いで法人登記をしたい」と担当者に希望を伝えた。

それに対し、文教課から説明資料として渡されたのが平成9年2月5日付(改訂版)の「宗教法人の規則等の認証に関する審査基準(留意事項)」と題する文化庁の文書の写し。そこには、宗教法人設立の規則認証「3年ルール」が明記されていた。設立認証には3年かかる、ということを説明するためだ。2年半を超える交渉の始まりの時点でボタンの掛け違いがあった。

初面談の際、千葉牧師は宗教法人法第13条に挙げられている「当該団体が宗教団体であることを証する書類」として、八幡ぶどうの木教会の『週報』や年度報告書、昭和55年作成の同教会規則を持参したという。

同牧師が作成した「規則認証を求める手続きの経緯」によれば、それ以来、直接の訪問、電話でのやりとりは二十数回。文教課からの指導に応えて、新しい教会規則や教会活動の写真、役員会議議事録、教会総会議事録、予算案などを幾度も提出した。

今年4月22日には法人設立総会を開催。文教課から監事を選任するよう「要請」があり、7月1日に臨時設立総会を開いて選んだ。法人設立公告も教会の『週報』で4月下旬、5月上旬の2度にわたって行っている。

他方、文教課が作成し千葉牧師に提示した文書には、交渉経過と事実関係について若干異なる認識も示されている。

この文書は、財産目録、役員会議事録、写真等の資料が文教課の依頼通りに提出されてこなかった(遅れた)ことを指摘。決算で監査を受けた形跡がないことなどを問題視し、提示された法人規則に沿って次期年度の予算決算が処理されているか(もう1年間)確認したい、と千葉牧師側に伝えた、と記している。

「宗教法人法に明記されている項目を網羅」した規則に沿った運営ができているかどうか確認する必要がある、という認識が文教課の立場を支える。他方、千葉牧師側は3年ルールの根拠に疑問を持ち、認証申請の受理前に、宗教法人法を踏まえた規則にのっとった運営の実績を求めるのは不当、という考えに立つ。

千葉牧師は2年半にわたって宗教法人法の原則と、所轄庁の指導の間で翻弄された。「専門家と相談し、最初から完全に書類をそろえて申請すべきだった」と京都府側の対応に不信感を漏らす。

千葉牧師は、日本基督教団に法人規則の承認や宗教団体証明書などの発行を求める手続きに着手。府側から申請受理のゴーサインが示されるまで控えていたが、府との合意を前提とせずに規則認証を申請することを決断した。

一方、京都府側も「文化庁の指導に完全に従っている。認証については、知事の印を押す責任がある」と3年ルールにのっとった対応に自信を持つ姿勢は変わらない。