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時流ワイド

進む文化財デジタル化(3/5ページ)

2013年2月14日付 中外日報

先行する欧州に追いつけ ネット上の「文化資産」

国家戦略として、文化財を前面に押し出そうとする動きもある。

3年前、凸版印刷や有識者などで発足した一般財団法人「デジタル文化財創出機構」の本田牧雄代表理事は、「人口減少に伴う経済力の低下に対抗できるのは文化力」と断言する。

国外では、グーグルなどの企業が文化財のデジタル化に取り組むほか、EUが平成20年に立ち上げた巨大電子図書館「ヨーロピアーナ」は、加盟各国の博物館や図書館などが所蔵する数百万点の書籍や絵画、音源、映像などをアーカイブ化しており、波に乗り遅れてはならないとの危機感もにじむ。

同機構は国会にも働き掛け、昨年6月には超党派で「デジタル文化資産推進議員連盟」が発足。文化財をデジタル化する上での枠組みを整備していこうとしている。

ベンチャー企業の中にも、文化財のデジタル化に取り組む会社が現れている。

京都府精華町の学研都市に事業所を置き、文化財の撮影やシステム開発を提供する株式会社「サビア」は平成19年、大阪デジタルコンテンツファンドの出資を受けて設立された。同ファンドは大阪府や独立行政法人、金融機関が資金を拠出してできた投資事業団で、文化財のデジタル化事業は映像やゲーム、アニメなどと並んで投資対象となった。

同社は現在、寺院や博物館の文化財を大型スキャナーでデジタル化する事業を中心に取り組んでおり、年商は数千万円。収益は少しずつ上向いているが、若干赤字の経営状態が続いているという。

それでも、鈴木英樹取締役は「欧米でも日本文化に対する関心は高い。市場はまだ潜在的だが、海外に日本文化の素晴らしさを発信したい」と意気込みを見せる。

デジタル技術を使って超高精細な画像を取得できれば、顔料分析など文化財の調査研究にも役立つ。デジタル保存することで、文化財をインターネット上で公開したり、仮想空間でミュージアムを展開すれば、国内外を問わず、より多くの人が文化財に触れる機会を得られる。仏像や絵像などを通して、日本の宗教文化を海外に伝える機会が大きく増えることは間違いない。