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時流ワイド

「ゆりかご」の子どもたち(4/5ページ)

2013年2月28日付 中外日報

赤ちゃん助けたい

慈恵病院はカトリックの「マリアの宣教者フランシスコ修道会」のジャン・マリー・コール神父(1850~1911)が、近くにある加藤清正の菩提寺の日蓮宗本妙寺参道に集まっていたハンセン病患者を救済するため、明治31年に開設した診療所を前身とする。

現在は修道会から医療法人に運営が移管されているが、カトリックの教えに基づき運営され、妊娠中絶は一切行わない。

そのため、かつてマザー・テレサが来日した際に日本で中絶が多く行われていることを悲しむメッセージを残したことによって始まった「生命尊重センター」(東京都)の活動にもいち早く参加し、電話による妊娠相談窓口を設けて中絶回避に取り組んできた。

その活動の一環として平成16年に蓮田太二理事長と田尻看護部長がドイツの「ベビークラッペ」を視察した。その時のことについて田尻看護部長は「幼稚園と病院に設置される4件を視察し、胎児の人権を認め、生まれた赤ちゃんを国の宝として育てようとする精神に深く感動しました」と振り返る。

帰国から間もなく平成17、18年と連続して熊本で18歳の無職の少女が産み落としたばかりの女児を殺して庭に埋めたり、21歳の専門学校生がトイレで女児を産み落として窒息させたり、痛ましい事件が立て続けに3件も発生。「日本でこんなに多くの遺棄事件が起きているとは。自分は何をしていたんだろう。神様から授かった掛け替えのない尊い生命を何とかして助けなければ」と蓮田理事長は、こうのとりのゆりかごの開設を決意した。

しかし、法的な定めのない施設の設置は困難を極めた。病院施設の用途・構造の変更に伴い、熊本市に医療法に基づく許可申請を提出したところ、熊本市は厚生労働省、熊本県と協議し、刑事法上の保護責任者遺棄罪、児童福祉法、児童虐待防止法に当たらないかなどを検討。結果は「直ちに違法とは言えない」という後ろ向きで曖昧な判断だったが、熊本市は児童相談所や警察などの公的相談機関との連携を取ることや相談機能の強化を図ることなどを条件に申請を許可した。

さらに「慈恵病院が"赤ちゃんポスト"の設置を計画」と報道されたことで「子捨てを助長する」など世間からの批判にも晒される中、カトリック信徒の蓮田理事長の「赤ちゃんのいのちを救いたい」との強い信念のもと翌年に開設された。

慈恵病院の連絡先は、電話096(355)6131(代表)、24時間相談窓口はフリーダイヤル(0120)783449。