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時流ワイド

自死対策 宗教者に期待(2/5ページ)

2013年4月11日付 中外日報

自死と向き合う宗教者 社会が期待する取り組みとは何か

政府が平成19年に策定した「自殺総合対策大綱」以降、官民を挙げたさまざまな対策により自死者は減少傾向にある。こうした中、宗教者による自死予防活動や自死遺族ケアの取り組みにも社会的な関心が高まりつつあり、自治体が宗教者を中心とした自死対策団体に研修会の開催を委託する事例(京都市)も出てきた。その半面、自死に偏見を抱く宗教者の振る舞いが遺族を傷つける事例も報告される。

社会が宗教者に期待する自死対策とは何か、宗教者にしかできない取り組みとは何か。(山縣淳・池田圭)

宗教者こその寄り添いを

「いのちに向き合う宗教者の会」代表を務めるなど、10年ほど前から自死念慮者の相談事業や自死遺族へのグリーフケアに取り組む根本紹徹・臨済宗妙心寺派大禅寺住職(41)=岐阜県関市=には、つらい記憶がある。4年ほど前、相談に当たっていた40代の檀家の男性が自死してしまったのだ。

男性はバイクの愛好家だったが、運転中の事故で身体が不自由になり、仕事もうまくいかなくなっていた。それを苦にして相談を重ねていた。

相談中は住職が取り組む自死対策にも賛同し、自分と同じように自死を念慮する人のために活動に協力したい、と言ってくれた。その矢先の自死だった。「家族だけでなく、私も立ち直れないほど落ち込んだ」

男性はブログ(ミクシィ)を持っていた。死後、そのトップページに大禅寺の前に止めた愛用のバイクの写真が掲載されているのに気付いた。死の数日前に更新されたものだった。

理由は分からない。だが遺族と「寺とバイクを心のよりどころにしていたのではないか。そして家族には言えない万感の思いや、和尚に『後は頼む』というメッセージを込めたのではないか」と話し合いを続けた。今でもその写真を見ながら遺族と語り合う。

根本住職は「思い出をシェアすることもグリーフケア」と説明。人はいつ自分が自死遺族になるか分からない。だが、日ごろから檀家や信者と接点のある宗教者だからこその悲嘆への寄り添い方はある、と語る。

「葬儀や法事は、仏教者による最高のグリーフケアの機会」と高木慶子・上智大グリーフケア研究所長(76)が語るなど、葬儀や年回法要には、遺族へのケアの機能も内在しているとの指摘がある。

根本住職は「その意味で僧侶は本質的に普段からグリーフケアに関わっていると言える。読経や法要、法話などのノウハウは僧侶にとって最大のツール。遺族へのケアには、やはり僧侶が関わらなくてはならない」と考えている。

ただ、自死念慮者へのケアといった自死予防の取り組みに対する宗教者の活動は不十分、ともいわれている。

例えば、平時の心的ストレスを0、自死の一歩手前の心情をマイナス10とする。「人の心の状態は日々変化する。マイナス10なら専門家の対応が必要になるが、マイナス1やマイナス2の人への対応ならどうにかなる。そういう取り組みにも、僧侶がいかに関わっていけるのかが問われる」と話す。