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時流ワイド

自死対策 宗教者に期待(4/5ページ)

2013年4月11日付 中外日報

差別・偏見に声あげる遺族たち

石倉さんは28年前に前夫を自死で亡くした。当時は自死の話はタブー視された上、自死遺族支援の取り組みも社会的にほぼ皆無だった。前夫の死後、自死未遂やアルコール依存にも苦しんだ。

近年は自死予防や遺族支援の団体が各地で設立されるようになったが、それもここ10年ほどの動きで、「こころのカフェ きょうと」の開設は7年前の18年。「いまだに自死がタブー視される状況は変わっていない。さまざまな取り組みで自死者の数は減少しつつあるが、これも継続がなければ今後どうなるか分からない」と指摘する。

また自死遺族への支援活動の心得について「遺族には(後追いの)自死未遂が多いということも知ってほしい」と説明。大切な人を亡くした悲嘆やそれを口外できない苦しみだけでなく、故人が残した多額の負債といった深刻な問題を抱える遺族も少なくないという。

国の「自殺対策大綱」では自死は「その多くが追い込まれた末の死」とするが、社会の自死者に対する反応は「心の弱い者の身勝手な死」「忌まわしい死」など偏見や差別が根強い。

自死遺族への総合支援を訴える「全国自死遺族連絡会」は自死遺族等の権利保護法制化を求め、署名活動などを続けている。同連絡会の「自死遺族の二次被害相談センター」では、宗教者の振る舞いが自死遺族を傷つけた事例も報告されている。

▼焼身自死の息子の葬儀の供養を住職に拒否され、別の寺でも断られたため、キリスト教の教会で葬儀を行った(平成21年・青森県)。

▼息子が飛び降り。戒名の最後に「自戒」の字が入れられ、1年後に戒名から消してもらった際にさらに「戒名料」を請求された(17年・岩手県)。

世話人の田中幸子さん(64)=仙台市=によると、自死者の葬儀で「四十九日まで戒名は付けない」と言われた例もあるという。田中さん自身、ある住職から「自殺は殺すという文字が入っているから、罪があるんですよ。浮かばれない」と言われ、泣いて食ってかかった経験がある。

石倉さんも「一目で自死が死因であると分かる戒名をつける僧侶がいる。私も実際に数件確認した」と苦言。また「昨年、ある会合で僧侶の一人から『自殺は30代たたる、ということを知っていますか』と言われて驚いた」と証言し、「そういう差別や偏見を改める必要もある」と宗教者に求める。

仏教テレホン相談を30年にわたり、継続する仏教情報センター(東京都文京区)の髙橋隆岱理事長(59)は仏教と自死について、仏教はいのちの大切さを説いているが、自死の禁止は「教えとしてないし、ブッダも言っていない」と断言。戒名などでの差別的な扱いについて「僧侶として考えると勉強不足と言わざるを得ない」と指摘し、「社会の変化に対して仏教者としてどうあるべきか、考え続けねばならない」と呼び掛ける。