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時流ワイド

自死対策 宗教者に期待(5/5ページ)

2013年4月11日付 中外日報

幅広い連携で地域拠点に

自死に関する相談を受け付ける各地の寺院僧侶が集うNPO法人「自殺防止ネットワーク風」は3月24日、千葉市内で「命の大切さを語る集い」を開催した。

ライフリンクの清水康之代表(41)の基調講演やシンポジウムが千葉県の後援で行われた。同ネットは千葉県と一昨年から協力関係を結び、重点地区としてこのような催しや相談会を重ねる。

同県成田市・曹洞宗長寿院住職でもある篠原鋭一理事長(68)は「地域のお寺と行政が結び付くのはとてもいいことだ。住職や寺への信頼も再生していく。社会的苦悩に目を向けて、例えば行政や医師と一緒に動くのはお寺の存在、僧侶の存在を再構築する手段としても重要だ」と、行政と協力して自死対策に取り組む意義を語る。

清水代表は宗教界の取り組みについて「宗教界は何をしているんだという思いが強かった。宗教は人間の生きている中から、血のにじむように紡ぎ出してきた智慧を集積させているはずだが、何もメッセージを発してこなかった。存在価値が問われている」と振り返った。

その上で近年の宗教者による取り組みの高まりを評価。「それこそコンビニ以上に数がある寺には地域の駆け込み寺として、関係者の連携の場になっていただきたい。地域に実務的な支援の拠点を持つことが人々の心のよりどころとなり、いざというときの安心感にもつながる」とエールを送る。

昨年、年間の自死者は3万人を切ったが、清水代表は「年間で比べれば減ったかもしれないが、本質的には(自殺者は)2万8千人また増えた。失業者数は職を得たり、失うことでの増減だが、自殺者数は増え続ける。ペースが緩やかになっただけで危機的状況は変わらない」と訴える。

自死対策へ社会全体での取り組みが進行する中、生死の問題に正面から向き合う姿勢が宗教者には求められている。