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時流ワイド

「出生前診断」アンケート(4/5ページ)

2013年5月30日付 中外日報

親となる「覚悟」を求める

問3は新型出生前診断について相談する夫妻へのアドバイス。回答の"最大公約数"は、相談に耳を傾け、共に語り合い、アドバイスをする。その上で診断を受けるかどうか、受けた結果をどう判断するかは両親が決めることだ――といったものだが、それぞれの宗教的立場から、あるいは宗教的立場を離れて、多様な回答が寄せられた。

後藤尚玄・時宗薬仙寺住職は「宗教者だから仏教者だから、ということではなくて、相談者の悩みに真摯に向き合い、一緒に悩み考え、そして相談者が導き出した結論を尊重することしかできないと思う」と、相談者に"寄り添う"姿勢を重視する。

「アドバイスというよりも、どこまでもカウンセリングの基本とも言える『傾聴・受容』という立場を保持し続けるということとなろうか」(林田康順・大正大教授)、「宗教的立場を押し出すのではなく、一市民として、夫婦間の気持ちに食い違いはないかなど、各々の事情を十分に傾聴し、いわゆる建前論ではなく、本音のレベルでアドバイスするという姿勢が必要」(大村英昭・浄土真宗本願寺派圓龍寺前住職)も同様の回答だ。

助言の内容では、授かった命の重みを説いた上で、最後は親が判断すべきだとする回答が多かった。

「どのような子供も例外なく全て神様からの授かりものであり、また、どの子供も、両親に対しては必ず何かしらの贈り物を持って生まれてくるわけですから、もし万一、出生前診断で陽性の反応が出たとしても、まず中絶ありきではなく、御家族・御両親などの近親者と相談して、熟慮に熟慮を重ねた上で御判断下さい」(田頭寛・西野神社権禰宜)

「一般論として①子どもを授かる事の意義、重大さ、いのちの尊さを話し合う②何のために新型の出生前診断を受けたいのかを考えていただく③新生児が障害者であった場合の社会保障制度を一緒に考える④仏教の教えによって事実を受け止めていく道があることを伝え、先立ってそのような苦労や学びをした人、グループを紹介する⑤以上のようなことを経て、自身で判断していただく」(田代俊孝・同朋大大学院教授)

「こちらからアドバイスをするよりも先に、トコトン相談者の気持ちを聞きます。不安に思っていることは何なのか、などなどを当事者達にできるだけリアルにイメージして考えてもらいます。その上で、必要に応じて自らの経験(結婚10年目の不妊検査途中での初めての妊娠とそれを稽留流産したこと、その後再びの妊娠と高齢初産)も話し、命に関わる談義をするなかで、すべての存在を貴んだ、法華経の常不軽菩薩の心を伝えたい」(岡田真美子・兵庫県立大教授)

アドバイスの姿勢として、診断・出産に当たって親の「覚悟」「自覚」を促すという回答も目に付いた。

「不安は親だけではない。生まれ出る子にもある。不安を解消するためにも、正常でも障害があってもどんな子に対しても親の覚悟は必要。心の中で不安を作っているのでは、親の覚悟はできない。覚悟の無い親には無事に子は育てられません。進んで検査を受けるべきですとアドバイスします」(芝﨑惠應・日蓮宗仙寿院住職)

「どれくらいの確率で病気を持って生まれてくるのかしっかりと確認した上、もしもの時の覚悟を決め、心の準備をする為になら受けるようアドバイスする」(村山博雅・曹洞宗東光院副住職)

「診断をすること自体が、既に命の軽視・安易な命の選択であることを説明。不安は分かるが、命を授かるとは、たとえどんな健康状態の子供であっても、自分達の子供に違いない。不安も含め、全てが親になるということ。親としての自覚を促す。それでも、経済的理由や、出生後の苦悩に耐えられそうにない場合は、中絶という選択も致し方ない。安易な命の選択にさせないことが重要」(米澤智秀・全日本仏教青年会救援委員長)

川口日空・法華宗本門流正立寺住職のように「生命は自分のものではありません。天からのさずかりものです。かりにダウン症などの出生前診断がでても、産むべきです。『うむ』のではなくて『うまれる』のです。出産は自然そのものの摂理だからにほかなりません」などと、診断結果を問わず出産すべきだとする回答もあった。