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時流ワイド

「出生前診断」アンケート(5/5ページ)

2013年5月30日付 中外日報

宗教界も真剣な学びを

問4では宗教者・教団の対応が問われた。

「各宗各派で仏教や宗祖の教えに基づき、しっかり検討することが必要。しっかりとそれぞれの考えを打ち出すべきだ」(司東和光・真言宗智山派興性寺住職)、「それぞれの独自のコメントをだすべきだ」(大下大圓・高野山真言宗千光寺住職)との意見や、「議論」「研修」を重ねておくことなど宗教者・教団の積極的な取り組みを求める回答が多く見られた。

ただ「個別に相談を受けて、ケースバイケースで助言するしかない」(田中寛洲・臨済宗南禅寺派光雲寺住職)、「現に多数おられる障害者などへの支援体制をどう構築するかを、もっと真剣に考えるべきだ」(大村氏)などと、教団レベルでの統一的な見解の提示を疑問視する声もいくつかあった。

宗教者としては「賛否を論じるだけでなく、その辛く厳しい選択をした人の心に寄り添い、サポートしていくことが必要」(神田敬州・臨済宗佛通寺派修善院住職)、「出生前診断を受診される方々は、高齢出産の方、不妊治療を受けてこられた方なども多くいらっしゃることから、その心の叫びを汲み取り、あるいは、そうした社会状勢を広く学ぶということ。宗教者は、自身ができることを過大評価せず、どこまでも謙虚に、敬虔な姿勢で、そうした方々の悲しみを真摯に傾聴し、その傍らに静かに寄り添い続けるという姿勢が問われている」(林田氏)などと、問3と同様に"寄り添う"姿勢の大切さを説く意見が見られた。

千石真理・京都大こころの未来研究センター研究員は「日頃から、何が幸せかという価値観や、家族のつながりや絆とはどういうものかを考えるような教化をしていくことが必要」と宗教界に注文を付ける。

高橋卓志・臨済宗妙心寺派神宮寺住職は「出生前診断の是非は1970年代の羊水検査導入以来議論されてきた。《新しい》出生前診断が出現したところで、その議論に新しいものは特にない。宗教界が対応すべきは40年前であったはずだ」と問題への無関心を続けた宗教界を批判。

合わせて「出生前診断により判別した『ダウン症』の子どもを産むか産まぬかという当事者のギリギリの判断に、私たちは真剣に向き合ったことがあるのか……を問わぬ中での机上の論に、あまり意味はない」と宗教者に問い掛ける。

小田淑子・関西大教授は「日本では宗教家、宗教教団がこうした問題に発言する素地がなさすぎる。こうした問題への見解の表明と、信者への啓発をするには、教団の姿勢のみならず、人々の宗教による社会貢献、社会活動に対する認識が変化する必要があるのではないか」とみる。

釋徹宗・浄土真宗本願寺派如来寺住職は「伝統教団や巨大教団は出生前診断について積極的に調査・研究・提言を実行しなければならないのではないか。それは教団メンバーの統一見解を出すという意味ではない。重要な社会問題に関して発言をする責務を負うという姿勢が重要なのである。社会の価値観を揺さぶってこそ、宗教者であり宗教教団なのだから」と、これからの宗教界に課題を掲げた。