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時流ワイド

宗教情報ブームの時代(4/5ページ)

2013年6月13日付 中外日報

団塊も若者も興味示す

現在の宗教とメディアの問題を考えるとき、もう一つ大きな要素として捉えておかねばならないものとして、団塊の世代の動向がある。

宗教情報を扱う雑誌の増加について、井上氏は「団塊の世代を中心に比較的非宗教的と言われた人たちが信仰や宗教文化に興味を持ち始めた。値段も高い雑誌を若い人は買わなくなってきており、出版社側も中高年をターゲットにしている」と話す。

電子媒体の進出や読者の"活字離れ"など、不況にあえぐ出版業界。手を替え品を替え、読者のニーズを掘り起こそうとする。

いわゆるタレント本もその一つ。これまで宗教について語るのは、僧侶や宗教学者など専門家が多かったが、タレントのみうらじゅん、いとうせいこうの両氏による『見仏記』以降、書き手も多様化してきている。

「解説者が必ずしもお坊さんではなく、一般人がむしろ多い。個人的に仏像や仏教美術に関心を持ち、それを一般の人に説明していく形が多い。私が90年代から言っている『専門知の逆転現象』の一つの表れ」と井上氏は指摘。

「仏教的なことをお坊さんが一番知っていると思われていた時代は変わった。宗派の見解から自由になれない僧侶より、普通の人の方がいろんな情報を知り得るようになり、仏教の良さも知るようになったということ。そして一般の人が情報メディアを通して多くの人に伝えるようになった」という。

タレント本、サブカル化

お笑いコンビ「笑い飯」の中西哲夫さんが出版した『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』などがその典型だ。

団塊の世代だけではない。若い世代、女性の間でも仏像や仏教、神社をサブカルチャー的に捉えて楽しんでいる傾向も見受けられ、メディア側も話題性を求めて取り上げている。

「仏像ガール」「寺ガール」「社ガール」など、特定の趣味を持つ女性らがポップなネーミングをされ、宗教ブームを側面から支えている。「美坊主」「僧職系男子」などもサブカルチャーとしての仏教への視点の一つだ。

井上氏は「ポップなサブカルチャー的な雰囲気になっているところがあるが、若い人には仏教は目新しい。異国に面白いものがあるのと似た感覚で、日本のお寺にこういうものがあったというアプローチをしている」と、若い世代独特の宗教に対する感覚について語る。

宗教への関心が教団の活性化に直接つながっているとは言いがたい。ファッションのようにメディアの中で消費される向きもある。

井上氏は「仏教など宗教が歴史の蓄積の中で持っていた力の再発見ではあるが、それが今の仏教宗派への関心の高まりやどこかの宗教に所属するというようなことにはつながらない。ひところ西山茂・東洋大名誉教授が言っていた『教団離れの宗教好き』に近いもので、仏教ブームだ、仏教がまた力を持った、と捉えると間違うかもしれない」と話す。メディアの取り上げる内容で、宗派の教義や信仰の要素が薄いのもそのためだ。