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時流ワイド

平和に向け動く宗教者(2/4ページ)

2013年7月30日付 中外日報

平和…祈り、願い、その先へ

比叡山宗教サミットは昭和62年に開催され、当時はまだ珍しかった国内での宗教間対話や宗教協力を一気に推し進める契機となり、翌年から「世界宗教者平和の祈りの集い」を毎年開催。「宗教協力や対話が当たり前のようになったことこそが成果」(小林隆彰・延暦寺長臈)と評価される。世界の紛争地域の現場で実際に和平に取り組むWCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会副事務総長の杉野恭一氏(47)とカリタスジャパン責任司教の菊地功・カトリック新潟教区司教(54)の2人は「宗教協力は祈りや対話を基礎に行動志向型へ」「信仰を突き詰めればやはり具体的な行動に」と語る。宗教者の平和への取り組みの課題を考える。(河合清治、有吉英治、高橋由香里、佐藤慎太郎)

カトリックの国際団体「カリタス」 紛争地にも足運ぶ菊地功・司教に聞く

信仰突き詰めれば、行動

ルワンダ北部ルヘンゲリの戦災孤児が暮らす家庭にて(左から2人目に菊地司教)
ルワンダ北部ルヘンゲリの戦災孤児が暮らす家庭にて(左から2人目に菊地司教)
■国際カリタスは、カトリックの社会福祉活動および災害・紛争時の救援活動を行う団体で、1951年に教皇ピオ12世のもとで創設。165カ国に活動は広がり、日本にはカリタスジャパンがある。

現場では、軍事勢力同士の武力衝突やテロなどが相次ぎ、一般市民を巻き込んで悲惨な争いが続いている。また大勢の人が国を追われて難民となり、飢餓に苦しんでいる。

平和を願い、これらに宗教者が対処していこうと思えば何が必要か。具体的な行動として武装勢力との交渉や政治的な問題にもタッチしていかねばならない。

カトリック教会は、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世のころから積極的に各地の紛争問題の和平に取り組み、2003年にイラク情勢が緊迫の頂点に達した際、エチェガライ枢機卿を特使としてバグダッドに派遣し、フセイン大統領に事態の改善を呼び掛けた。3月にはピオ・ラギ枢機卿を米国ワシントンに送り、「神の名において」開戦に突き進むブッシュ大統領に、思いとどまるよう働き掛けるなどして戦争回避を訴えている。

草の根レベルでは、各地のカトリック教会を結ぶ世界第2のNGO「国際カリタス」が災害・開発援助とともに平和構築に取り組んでいる。

カリタスジャパン責任司教、カリタスアジア総裁を務める菊地司教に話を聞いた。

(アフリカが原点)

1995年に初めてカリタスで派遣されたルワンダ難民キャンプで武装集団の襲撃を受け、30人以上が殺されるのを目の当たりにした。それまで8年間神父をしていたガーナとは違う紛争地で過酷な人生を強いられている人々が何万人といる。この人たちのために何かできればと、以来さまざまな形でカリタスに関わってきた。

(宗教理解と平和構築)

アジアには23のカリタスがあり、一番大きいカリタスバングラデシュは職員のほとんどがイスラム教徒。その中で対話をし、違いを乗り越えて一緒に活動している。カリタススリランカでは、内戦状態だったときに平和構築プログラムを始めた。

宗教の異なる女性たちのグループをつくり気持ちを話し合うと、戦争はやめようという話になってくる。それが全国的に展開し、政府からも高く評価された。紛争が始まってからではなく、事前に相互理解を醸成しておくことも必要だ。

(現場で活動する意義)

私は災害救援や貧困撲滅を担当しているが、もう少し政治的な活動には風当たりが強い。宗教者は教会や寺で祈っていればいいと主張する人もいる。だが信仰を突き詰めればやはり具体的に行動しなければならない。

教皇フランシスコは積極的に出ていく姿を見せ、クリスチャンに行動に出ることを促している。宗教者が先頭に立ってこういうことをするのだと見せて初めて皆がついてくるので、平和活動にも進んで関わっていくことはとても大切。宗教者は一般社会の価値観とは異なる倫理的な判断を自信を持ってすることができる。これこそが目指す方向だとはっきり示すのは重要なこと。

(命懸けの覚悟)

キリスト教では苦しみを神に捧げていくのが信仰を深める道。殉教もそうだが、救いのために苦しみは必要であって、私たちはキリストが苦しんで栄光に達したのと同じ道をたどっていかなくてはならない。そのことを修道者、宣教師となる養成の過程で学んでいく。自分自身のために生きているのではない、皆のために、究極的には神のために、人生を捧げて働いている人が多いと思う。