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時流ワイド

平和に向け動く宗教者(4/4ページ)

2013年7月30日付 中外日報

「草の根の対話」これから

キリスト教者と禅仏教者の相互認識を深めるため、アメリカ人クエーカー教徒のダグラス・スティーア氏が始め、今年で47年目を迎える「禅とキリスト教懇談会」に発足当時から携わってきた奈良康明・駒沢大名誉教授(曹洞宗大本山永平寺西堂)は、「政治でも経済でも世界が混沌とした状況にあり、人々がエゴを振り回してバラバラ社会になっている中、宗教協力、対話はとても必要なこと」と強調する。

その上で奈良氏は「宗教協力の場では教団上層部の人たちだけが集まって理念的な話を繰り返してきたが、住職や神父、檀家や信者といった、さまざまな人たちに裾野を広げ、草の根の対話をしていくことが今後の課題だろう。何かをしようと決めてから集うのではなく、まず一般の人たちが意見を交わし心の痛みを共有することで、何をすべきか具体的方法が見えてくるはずだ」と草の根の活動の必要性を説く。

小田淑子・関西大教授は「教団トップやエリート宗教者による宗教間対話や協力は一定の役割を果たしてきた。しかし宗教者が集まり、平和は大事だと世界に向かってアピールしても、僧侶の場合なら、自分の寺院に帰って檀家さん一人一人にそのことを説いているのかというと疑問。行事を開いて平和を祈るだけでなく、日ごろの活動の中で足元に向けての啓発をしっかりと行い、草の根レベルでの平和運動を広げていく努力が必要」と指摘する。

現場に立つことが大切

杉野氏が現場での活動を大切にする理由は、「祈り」によって「平和」という結果だけを求めるのではなく、「平和」へのプロセスを重視しているからだ。結果だけを見て「平和が来ない」と感じるのではなく、実際に行動し、努力することが大切だと語る。また、菊地司教も、今宗教者に求められていることは「先頭に立ち行動すること」だと強調する。

そしてもう一つ大切なことは現場に立つこと。その一つが、日本の米軍基地の約75%が集中し、普天間基地移設問題などで揺れる沖縄だ。

平成18年に東京から移住して、慰霊や平和問題に取り組んでいる真言宗豊山派長谷寺(沖縄県糸満市)の岡田弘隆住職はこう語る。

「私も沖縄に住むようになって初めて、米軍基地を押し付けている本土の政府による主権者の沖縄差別が、肌身で分かった。この温度差を解消するには、やはり現地に身を置いて考えることが必要。特に宗教者には何度でも沖縄の地を踏んでいただきたい」

比叡山宗教サミット20周年記念の世界宗教者平和の祈りの集いでは「平和への道は嶮しい。そこでわれわれは平和のために一層働くことを誓う」――とのメッセージが採択された。今、宗教者の行動に期待が寄せられている。