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時流ワイド

死刑存続風潮の中で(4/4ページ)

2013年8月22日付 中外日報

廃止セミナーと祈りの集い

宗教、宗派を超えて宗教者が死刑廃止に取り組む「『死刑を止めよう』宗教者ネットワーク」が、発足10年を迎えた。天台宗、大本、イエズス会・社会司牧センター、日本カトリック・正義と平和協議会、真宗大谷派・解放運動推進本部などの教団または教団の担当部門の16団体が加盟し、各教宗派の個人が参加している。

活動は年2回の「死刑廃止セミナー」と、毎年9月の「死刑執行停止を求める諸宗教による祈りの集い」など。死刑停止を求める署名や要請文などを法相に提出し、死刑執行時には抗議声明を出している。

ネットワークとしての意見集約は「どんな人の命も神仏から与えられたもの」であり、加害者といえども人の手で奪うことは許されず、「神仏の慈悲によって悔い改める可能性があり、その機会を奪うことはできない」とする。また被害者の癒やしは「応報的な刑罰によってではなく、心理的・社会的支援」でなされるべきだと主張。犯罪は「罪を犯した背景を考え、更生を社会全体で支えていく」ことが抑止につながる、としている。

ネットワークが発足3年目の時、国内の各教団を対象に死刑に関するアンケートを実施した。その結果、数は少ないが死刑制度に賛成する教団(担当者の個人的意見を含む)もあった。宗教者個人にも教団にも、さまざまな立場や意見があることが分かったが、セミナーを重ねるうちに、各教宗派の参加者が増えてきたという。

ネットワークの役割について、事務局を務める大谷派解放運動推進本部本部委員の雨森慶為氏(55)は「この10年間、死刑問題に対する啓発の場や、問題を再確認する場の提供に寄与してきたと思う。今後はもっと取り組みを広げる必要がある」と指摘する。今は同じ目的を持つ市民団体、弁護士団体と共同で活動するようになった。

雨森氏は13年前に大谷派主催の死刑囚の絵画展に関わり、死刑囚も一人一人、いろんな人がいることを実感した。また被害者の遺族と出会う中で、加害者を許そうとする遺族にも出会った。氏は、社会が被害者や加害者に対するステレオタイプの思い込みを見直し、もっと被害者遺族に関心を持つことが必要という。その上で「宗教者は死刑について、それぞれの教義や教学的立場で考えねばならないと思う。ただそれは理論だけでつくり上げるのではなく、死刑囚や被害者遺族とも交流し、つくり上げていくものだろう」と話している。

同ネットワークの「死刑執行停止を求める諸宗教による祈りの集い」が9月3日、京都市右京区の大本山妙心寺・花園会館で開かれる。各教宗派が声明、祝詞、ミサなどそれぞれのスタイルで「祈り」を捧げ、死刑廃止のメッセージを表明する。