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トップ> 時流ワイドリスト> 狭山事件 50年無実訴え 直聞インタビュー 石川一雄さん
時流ワイド

狭山事件 50年無実訴え
    直聞インタビュー 石川一雄さん(5/6ページ)

2013年10月10日付 中外日報

人は誰でも変われる 差別も必ずなくせる

無罪判決が出たら。

やりたいことがいっぱいあります。何より学校に行きたいです。小学校5年までしか行っていませんから。国語はいくらかできるようになりましたから、英語や社会を勉強したいですね、夜間中学に行って。頑張って勉強して、支援してくださる皆さんに、恥ずかしくない成績表を見てもらって、卒業の免状をもらいたいです。

それからケニアに行きたいですね。まだアフリカには木の実をとって生活したり、字の読めない人がいたり、私が子どものころのような生活を送っている人がいると思います。そんな生活を楽しみたいです。もし支援が必要なら支援もしたいですね。

もちろん部落差別をなくす活動もします。それには何より、部落民の立場がどんなものか一般の人に知ってもらうことだと思います。もう今は忘れられているから触れない方がいいという人もいますが、くさい物にふたをするという論理では、いつかそのふたが外れてしまったら元に戻ってしまいます。

私は文字を書けるようになって変わりました。人は誰でも変われるのです。ですから部落差別もなくなると信じています。すぐにはなくならないでしょうが、子どもか孫の世代にはなくしたいと思います。少しずつでも行動して、なくしていかなくてはいけないのです。

奥さんの早智子さんも部落出身。

働いていた職場が差別発言がいっぱい出るようなところで、部落出身だということは隠していたそうです。ですが、職場に部落研究会ができて、そこで学ぶうちにみんなが変わったというのです。何かを感じれば変われる、人には素敵な可能性があるんだと実感したと話してくれました。

人は誰でも差別をしてしまいます。私だって女性や障がい者を差別しているかもしれません。ですが、自分が差別していると気付いた瞬間、変わる可能性も生まれるのです。だから人は前向きに生きられるのです。これまでに何人も、変わることのできた人を見てきました。だから希望が持てます。

えん罪だって必ず晴れると思うから元気に生きていられます。自分は罪を着せられた者だと閉じこもっていたら、みんなも心を閉ざしてしまうでしょう。自分から心を開けば相手も開いてくれます。

狭山事件は悲しい出来事ではありますが、ここでの出会いを通じて、人を信じられると思えることは大変ありがたいことです。

差別戒名については。

そうした歴史があることは事実ですが、多くのお坊さんが直そうと努力してこられたことに敬意を表します。宗教者でつくられている同宗連は、ずっと差別問題について知ろうとしてきておられ、それはすごいことです。毎年狭山にも来てくださっています。知らないことは怖いことだし、不幸なことだと思います。

差別する人、される人と、分けたらそれまでです。誰にも差別する可能性があるのですから、自分がされたら嫌だということを、説法で分かりやすく話してもらえればいいですね。そして狭山事件で50年も苦しんでいる人がいるんだと、一言入れてもらえればありがたいです。

お寺のお坊さんが話してくだされば、人間の尊厳について、大上段に構えることなく、身近なこととして感じられると思います。