ニュース画像
倒壊した浄土真宗本願寺派法城寺の鐘突き堂(むかわ町)
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> 時流ワイドリスト> 高まる改憲論議
時流ワイド

高まる改憲論議(4/6ページ)

2013年10月31日付 中外日報

現実に即して変更も 中国の動きなど懸念

改憲に賛成した田中寛洲・臨済宗南禅寺派光雲寺住職は「最近の尖閣諸島をめぐる中国の覇権主義的、領土拡大欲を見ていると、自衛隊の今のままでの体制では心もとなく感じる」と近年の日中関係の悪化に言及。

他には、「憲法の内容は時代に応じて変化すべきだと考えている」(田頭寛・西野神社権禰宜)、「占領下の憲法改正の故、日本文化、精神の宣揚を阻む要素も多いと思われる」(村上泰教・石鎚山真言宗教学部長)、「改めるべき点があれば、十分な議論の上で改められるべきであることは、憲法といえども例外ではない」(黒住宗道・黒住教副教主)などの意見があった。

これに対して、高橋卓志・臨済宗妙心寺派神宮寺住職は「日本国憲法、特に9条は、大切な多くの生命を失い、二度と(戦争を)繰り返さないという『誓い』から生まれたもの」、千石真理・京都大こころの未来研究センター研究員は「日本国憲法は世界に先駆けた平和宣言。改正することによって、諸外国との関係も悪化する」と改憲に反対する。

渡辺順一・金光教羽曳野教会長は「日本の再軍備化(憲法改正)の要請は、日米安保条約下での米軍の役割を縮小したいと考えるアメリカのお家事情」と指摘し、「改正すべき事由は何一つない」と断言する。

また反対の中には「現憲法の改正には反対だが、反対であることがただちに一切の議論を封じることも好ましくない。改正案を議論する機会は開かれることが望ましい」(小田淑子・関西大教授)、「長いスパンで物事を判断する宗教的信念を多くの国民が持っているならば、改憲はやぶさかではない。しかし、信仰を持つ人が30%を切る今日では反対せざるを得ない」(日野英宣・真宗佛光寺派称名寺前住職)との意見もある。

大村英昭・相愛大教授は「『憲法改正』というワーディング(言葉遣い)自体に問題がある」と指摘する。

「改正の是非は条文による」と回答した岡田真美子・兵庫県立大教授は「あらゆる法は現実に即して変化し得るもの。その意味で、絶対に改正はいけないとは考えてはならないが、しかし、憲法9条などは国の根幹に関わる問題で、軽々しく改正されることは許されない」と9条の改定には反対する。

秋央文・曹洞宗昌建寺住職も岡田教授と同じく「本来、宗教者なれば、平和憲法と評される現行の憲法、特に第9条の改正には反対もしくは慎重な立場を取るべきだ」と9条にこだわりつつ、「その平和憲法を担保してきた条件が著しく変化してきた昨今、やみくもに反対のみを唱えても非現実的」との考えだ。

96条改正は慎重さ必要

第96条の先行改正には、「国の仕組みを全く変えることのできない現行憲法は問題がある」(村上氏)、「慎重な手続きが必要だが、事実上実行不可能な条件を現実的に改めることに異論はない」(黒住氏)と6人が賛成した。

天理大おやさと研究所の金子昭教授は「平和主義・基本的人権の尊重はどんなことがあっても変えるべきではないが、その他の項目は現状に合わせて微調整は必要。しかし、安倍首相の改憲への意欲ばかりが先行している現状は憂慮すべきだ」と一定の理解は示しつつも、首相の前のめりの姿勢を危惧する。

白江順昭・浄土真宗本願寺派光慶寺住職は「今はゆっくりだが、96条が改正されれば一気に加速し、憲法が改正され、気づいた時には後戻りできない状況になる」と先行改正に反対。

この他にも、「96条の先行改正は姑息な手段だ」(小田氏)など反対の意見が多数に上っている。