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時流ワイド

宗教学も社会貢献を意識(4/6ページ)

2013年11月14日付 中外日報

中立性意識し超宗派で 学問がケア活動支える

東北大・実践宗教学寄附講座 鈴木 岩弓教授

臨床宗教師養成

第4回臨床宗教師研修で追悼巡礼をする参加者(宮城県石巻市)
第4回臨床宗教師研修で追悼巡礼をする参加者(宮城県石巻市)

東日本大震災被災地・仙台の東北大では平成24年から、「実践宗教学寄附講座」が開かれている。講座の目的は、高度専門職業人としての日本版チャプレンの養成だ。これまでのスピリチュアル・ケアの実践面や外国の情勢なども参考に、臨床宗教師養成のための研究を行っている。

「臨床宗教師」の認定も行っており、被災地での傾聴活動を含む全体研修や指定の医療機関、福祉施設での実習などを経て認定証が渡される。これまで38人が認定され、10月には第4回の研修が開始された。宗派や教団はさまざまで、全国から今回は19人の宗教者が参加している。

同講座の鈴木岩弓教授は「これまで多くの宗教者が向かい合ってきた相手は、檀家や氏子といった顔なじみの人々だった。しかし被災地では、異宗派の人々に対しても布教目的ではなく宗教的ケアができる人材が求められている」と語り、宗教の公共性の重要性を強調する。

被災地で宗教者が活動する場合、地域の文化にも目を配る必要がある。「葬法などには地域独自の伝統があり、そうした実情を理解する必要がある。いわばホームではなく、アウェーで活動することになるが、そこに、これまでの宗教学の知見が生かせるのでは」

東北大の宗教学研究室には震災後の5月、被災者に対する電話相談や弔い、シンポジウム、ラジオ放送、傾聴活動などを行う「心の相談室」の事務局が置かれた。会議の場を提供し、参加する諸団体を調整した。その会合の中で、臨床宗教師の必要性が求められたのが講座開設のきっかけだ。

「『震災大学』の宗教学者であったことが現在の立場を導いたが、研究は社会に対して役立つものでなければならないと以前から考えていた。学問的な中立性は強く意識しており、超宗派的活動の実施を通してその担保を心掛けている」

臨床宗教師同士の意見交換も、メーリングリスト等を通じて活発に行われている。「認定後、地元の病院で活動を始めたり、ウェブサイトを立ち上げた人もいる。認定証を受けてそれで終わりではなく、以後もブラッシュアップの研修機会が準備されている」と語る。

「現在は皆さんの寄付で運営されている3年間の期限付き講座だが、社会的な流れをつくり、恒常的なものにしていきたい。また、臨床宗教師制度のための指導者養成の方法も模索していかなければならない」と課題を話した。

(佐藤慎太郎)