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時流ワイド

葬儀縮小化の流れ加速(3/6ページ)

2014年1月23日付 中外日報

少人数の葬儀が一般化

公益社 安宅秀中氏「故人を弔うことは本能」

鎌倉新書の葬儀社調査(2012年12月)か

供養業界の月刊誌『仏事』を出版する鎌倉新書が2012年12月に全国の葬儀業者を対象にアンケートを実施した。198件の有効回答があり、家族葬や直葬など小規模な葬儀が半数近くを占めている事実が明らかになった。

参列者31人以上の「一般葬」が約53%と過半数を維持しているものの、30人以下の「家族葬」が約27%、「直葬」が約12%。参列者の平均は、家族葬で約26人、直葬は約6人と、少人数の葬儀が一般化していることが数字の上にも表れた。直葬は関東に限ると約22%と高く、特に都市部で葬儀の縮小化が目立っている。

葬儀業大手・公益社にも、「小さな葬儀を」との希望が近年多く持ち掛けられている。費用に着目した雑誌記事やテレビ番組に影響されてか、直葬や限られた参列者での式を希望する人が少なくない。だが後日亡くなったことを知って焼香に来る人が出てくることを説明すると、考え直す人が多い。

「家族葬」という言葉は、バブル期の終わった1990年代から使われるようになり、徐々に葬儀の縮小化が進むとともに定着してきた。経済的な要因で規模の大きな葬儀を営めない人がいるのも事実だが、同社葬祭研究所の安宅秀中・主任研究員は「亡くなった人を弔いたいという思いは、人間の“本能”。故人を弔うという葬儀本来の目的に立ち返っている」と見る。

「喪主側としては忙しい中、わざわざ来てもらって申し訳ないと思うが、参列する側は負担とは考えていない。むしろ最後の別れをしたいという思いが強い」。20年以上葬儀の現場に立ち会ってきた経験からの答えだ。「直葬」「一日葬」などの言葉が独り歩きし、「亡くなったことを知らせたくない」との思いが行き過ぎている感があるという。

縮小化が進む一方で、故人を悼む思いを葬儀に表わそうとの意志が際立っている。安宅氏は現在の葬儀の特徴は、「多様化」だと話す。例えば家族葬といっても、参列者の数ではひとくくりにできても、葬儀の中身は千差万別。「この曲を式の中で演奏したい」「祭壇を飾る花はぜひともバラを」など、特定の部分にこだわりを持つ人が多い。地縁の薄い東京のような大都市では、しきたりの影響があまりないことから、自由な葬儀の選択肢が広がっている。

そんな中でも、「ほとんどの人は仏式の葬儀を望み、仏教が嫌いという声が聞かれることはあまりない」と安宅氏。通夜、葬儀、法事と続く一連の葬送儀礼は、伝統的に悲嘆を癒やす役目を果たしてきた。「死者を弔いたいという思いと、仏式の葬儀を大事にする土壌が日本にはある。仏教の素晴らしさがもっと認知されれば」と願う。

「終活」という言葉が一般化し、エンディングノートも普及。葬儀場の見学会や事前相談会は活況を呈しており、死を忌避する空気が変わりつつある。今後は「お一人さま」と呼ばれる独居老人が増えることが確実視されており、自分の望む葬儀を契約し、その費用を銀行に預けておく「葬儀信託」への問い合わせも多い。「死ぬことを考えたくはないが、準備をしておかねばという意識のある人が多い」。同社で行う葬儀も、過半数が事前相談を受けたものになっている。

縮小化や多様化と葬儀の形は今も変化を続けているが、「故人を弔いたいという思いが変わることはなく、葬儀がなくなることもない」と安宅氏は確信している。