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時流ワイド

葬儀縮小化の流れ加速(4/6ページ)

2014年1月23日付 中外日報

最後の別れを印象深く

イオンライフ 広原章隆氏「お金の使い方変わった」

葬儀の相談を受け付けるイオンの窓口(千葉県・幕張で)
葬儀の相談を受け付けるイオンの窓口(千葉県・幕張で)

2009年に葬儀業に参入した流通大手イオン。葬儀事業を担当するイオンリテール㈱の広原章隆・イオンライフ事業部長は「月を追うごとに小規模な葬儀を希望する人が増えている」と驚きを隠さない。

この4年間、問い合わせ件数は年々増加しており、「規模は小さくていい」「身内だけでやりたい」という希望が多い。「自分の親しい人とはしっかり付き合っていくが、故人の付き合いを引き継ごうとは思わないのでは」。広原氏は香典辞退の広がりにも、その思いが見え隠れしていると見る。

また金銭的に余裕があってもこぢんまりとした葬儀を望む人がいるのは、「お金の使い方が変わった。納得できないことには使わない」と分析する。中身に納得すれば盛大な葬儀をする人もいるからだ。

同社では全ての葬儀プランに「納棺の儀式」を組み込んでいる。印象深い葬儀を演出するためだ。当初は特約店から面倒だという意見もあったが、顧客からは金額明示や低料金といった点もさることながら故人や遺族の思いを大事にする要素を評価する声が目立つ。

既存の葬儀業者からの反発は今もある。葬儀料金が下がり、小規模化を促進させたと批判される。そんな中でもイオンと特約店契約を結ぶ企業があり、「危機感の強い業者。従来のやり方では生き残れないという思いがある」。特約店は顧客の採点でランク付けされ、高い業者から優先的に葬儀が任される。やる気のある業者は、ランクが下がったとしても再度研修を受け直して出直すという。

イオンが今年度(昨年3月~今年2月)に受注の葬儀予約は約2万5千件の見込み。全国のイオンモールで終活フェアを行っており、今年度は約5万4千件の相談があった。

葬儀依頼と共に、しばしば僧侶の紹介を求められる。実家の菩提寺との関係が疎遠で、宗派も分からない人が多い。寺院を持つ僧侶に限って紹介している。「葬儀での説法が胸に響いたという声がよく届く。皆さん供養したいとの思いが強く、それも仏教でやりたいと希望している。立派なお坊さんはたくさんいるのに知り会う機会が少ない。お寺との新たな関係構築につながれば」と寺院紹介の狙いを語る。

イオンの葬儀業参入は、広原氏が父の葬儀で施主を務めたことがきっかけだった。料金が明確でなく、何にいくらかかるのか明らかにし、さらに低価格化ができれば事業として成り立つと考えて、祭壇や棺など個別に料金を出したのだという。この時、僧侶への布施も目安を掲げたが、全日本仏教会が強硬に抗議。イオン側は「誤解を招きかねない」と中止した経緯がある。

同社は永代供養墓の紹介もしており、神奈川県のある寺院では2カ月で150人の申し込みがあった。永代供養の費用は3万5千円。「この金額では、遺骨を預けるだけの場所になるのではとも危惧していた。だが納骨式には家族を含めて250人の参列があり、その様子を見ていると今後もお墓参りに来てもらえると感じた」。供養の心は金額ではない、と広原氏は話す。