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祇園で法話 はずむ会話

滋賀県日野町・浄土真宗本願寺派信楽寺 稲岡義證住職

2015年2月4日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

京都市東山区のお茶屋・花傳で開かれた新年会で参加者と懇談する稲岡住職(1月19日)
京都市東山区のお茶屋・花傳で開かれた新年会で参加者と懇談する稲岡住職(1月19日)

滋賀県日野町の稲岡義證・浄土真宗本願寺派信楽寺住職(69)は、人々に気軽に仏教に触れてもらう機会をつくりたいと、京都・祇園の割烹料理店で法話会を開いている。法話の後は参加者と食事をしながら親しく懇談するスタイルで、食事代も3500円程度と手頃で、好評を得ている。

「おさそい」と題した法話会は、京都市東山区の割烹料理店・井筒屋の協力で2013年9月に始まった。毎月第3水曜日のランチタイムに開かれ、稲岡住職が40分ほど京都の季節の話題などを盛り込んだ親しみやすい法話をした後、昼食を取りながら参加者と懇談。法話の内容への質問や仏事相談など様々な話題が出るが、改まった場ではないので、自然と会話が弾むという。

参加者は近畿地方を中心に毎回20人余り。初対面の人も多く、稲岡住職は「いろいろな方と様々な会話ができることが一番ありがたい」と言う。1月19日はいつもと趣向を変えて、同区のお茶屋・花傳で新年会を兼ねた法話会も開いた。

第1回から毎回参加している京都府宇治市の冨士薫さん(75)は「住職のざっくばらんな人柄と、お坊さんと同じ目線で話すスタイルがとてもいい。私は特別信仰心があるわけではないが、毎回、何かしら新しい発見がある」。夫人の知津子さん(66)は「仏教は死んでからの話と思っていたが、とても身近になった。自宅の仏壇のお供え物を替える時に念仏を唱えるようになった」と語った。

人づてに「おさそい」のことを聞いた女性から信楽寺に電話があり、「今の生活に不満はないが、何となくぽかんと心に穴が開いている」と打ち明けられたこともある。30分ほど話を聞いただけだったが、「よく聞いてくれました」と感謝された。

「はっきりとした悩みや苦しみを持っている人だけでなく、そうではない人の心のケアも大切だと気付かされた。自坊での教化活動だけでなく、やはり社会と広く接点を持っていかなくてはならない」と稲岡住職。本願寺派では12年から念仏者の積極的な社会参画を掲げる「御同朋の社会をめざす運動」(実践運動)を展開している。「法話会は私なりの実践運動です」と笑った。

(池田圭)