ニュース画像
避難所となった当時を振り返りながら講話する本川住職
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

仏教に縁ない人迎え入れ

千葉県市川市・日蓮宗本光寺 尾藤宏明住職

2015年4月15日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

アート体験教室で粘土細工に取り組む子ども
アート体験教室で粘土細工に取り組む子ども

「お寺って実はむちゃくちゃカジュアルやねんで」。ハードロックの音楽に乗せて、こんなセリフが流れる動画「はひふへ本光寺」で話題となった寺院は、東京から電車で約1時間、JR市川大野駅から徒歩3分の所にある。

信号待ちの車が列をつくる道路に面した壁には、宗門運動のロゴマークやお寺の紹介の看板が掲げられている。境内に入るとかわいいお坊さんの絵看板が出迎えてくれ、休憩用のテーブルには「吉茶天」の文字。

さぞや変わった住職なのだろうと思ったが、尾藤宏明住職(42)は屈託のない笑顔を見せる穏やかな普通の僧侶だった。

11月第3日曜の「家族の日」に親子アート体験教室を開いたり、市川市子育て支援課主催の母子会に会場を提供するなど、地域の人が気軽に集える場所にと、お寺を開放している。

2013年末には木魚のキャラクター「ぽっくん」の絵本を出版。昨年10~11月に「子育て応援! 七五三ぽっくん祭り」と銘打ち、無料で子どもの健全育成を祈願した。すると一人の母親が「初めてお祝いの儀式をしてやることができた」と喜んでくれた。「どんな事情があるか詳しくは分からないが、今の時代、誰でも何かしら悩みを抱えている。仏教で解決できることがあるのに、仏教を知らない人が多い」

転機となったのは04年に作ったホームページだった。当時まだ寺院サイトは珍しく、ネットで本光寺のことを知って参拝に来る一般の人たちが急に増えた。境内で立ち話をしていると、「わらにもすがる思いでお寺に来ていると伝わってきた。檀信徒との付き合いだけでは知り得なかった」と振り返る。

それ以来、これまで仏教に接することのなかった人たちに伝えてこそ本当の布教だと考え、一般の人が門をくぐりやすい寺づくりに努めるようになった。1月には客殿内に約400冊の書籍を備えた「仏教図書館」を開設した。今後も様々な団体と協力しながら、一人でも多くの人たちの心を癒やせる寺を目指して工夫を重ねていく。

(有吉英治)