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商店、若者と、祭りで活気

京都市北区・真宗大谷派唯明寺 亀田晃巖住職

2015年4月29日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

昨年10月に開かれた第12回「そらたね祭」。実行委員会の学生と本堂の前で(前列中央が亀田晃巖住職)
昨年10月に開かれた第12回「そらたね祭」。実行委員会の学生と本堂の前で(前列中央が亀田晃巖住職)

京都市で一番長い新大宮商店街。北山通から北大路通までを結ぶ南北約1キロには精肉店、酒屋、手芸店など約180店舗が並び、毎年10月には地元住民と市内の大学生らが協力して地域を盛り上げる「そらたね祭」が開かれている。その拠点が、商店街の中心にある真宗大谷派の唯明寺だ。

境内でコンサートやマジックショー、落語などがあり、隣接するガレージにはストラップ作りやバルーンアートなどが体験できるブースも設けられている。「無限の“そら”に、可能性の“たね”が伸びていくように」との願いを込め、2003年に始まった。

近くで小学生に和太鼓を教えていた立命館大のサークルが「発表の場を貸してほしい」と同寺に申し入れたのがきっかけ。亀田晃巖住職(69)が出した条件は一つ。「寺は地域の文化センター。人とのつながりを大切にして、皆で楽しもう」

晃巖住職の祖父は、独自の語り話芸で仏教の教えを広めた「節談説教」の名説教師・亀田千巖氏(1886~1964)。親鸞聖人の教えを分かりやすく伝えるため、語り口調に抑揚をつけ、歌や踊りも交えた布教方法は、民衆から絶大な支持を受けた。

1年のほとんどを全国各地での説教に費やした千巖氏を慕う同行が「聴聞の拠点」として建立したのが同寺で、報恩講の時期には全国から100人以上が泊まり込みでやって来た。晃巖住職は今でも当時の活気を覚えている。しかし、54歳で教育関係の仕事を辞めて入寺した時、その活力は失われつつあった。

また門前の商店街もかつての盛況を失う一方であった。「協力して何かできないか」。そう考えている時に和太鼓サークルから打診があった。寺は場所を、商店街は地域力と資金を、学生はパワーを出し、足りない部分を補い合いながら祭りをつくり上げていった。試行錯誤を重ね、今では千人以上が訪れる。

千巖氏の説教に集まった同行は親鸞聖人の教えを喜び、念仏を唱え涙した。「その涙に親鸞聖人の姿がある。仏教は大衆の中にありき。年に1度の祭りで地域の活力を取り戻すことは難しいかもしれないが、だからこそ人とのつながりを大事にしていきたい」と晃巖住職は語った。

(杲恵順)