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宗教学ぶ、街の寺子屋

大阪府池田市・浄土真宗本願寺派如来寺 釈徹宗住職

2015年5月20日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

釈氏の分かりやすい宗教の話に聞き入る受講者
釈氏の分かりやすい宗教の話に聞き入る受講者

阪急電鉄宝塚線の曽根駅(大阪府豊中市)から歩いて約5分。マンションや喫茶店、居酒屋など商業施設が立ち並ぶ通りの一画に「小さな寺子屋」練心庵はある。

浄土真宗本願寺派如来寺(大阪府池田市)の住職で、相愛大教授の釈徹宗氏(53)が昨年9月、IT企業の元事務所だった3階建てのビルを買い取って開いた。

「如来寺で開いてもよかったが、昔ながらの地域のお寺の形が残っていて、それを大事にしたかった。それで社会との関わりの部分(公共活動)をこの練心庵でやることにしました」

理想は江戸時代の思想家、倫理学者で「石門心学」の祖、石田梅岩。

「梅岩は自宅で講座を開き、学びたい人が一人でもやって来れば一生懸命に教えた。学びたい人と教えたい人の接点となるのが理想」という。

学びの中心は宗教。自らが講師を務め月1回開いている「初歩からの宗教学講座」(定員40人)や、不定期開催の「ReTAカフェ」(同30人)で、宗教を通して社会や人間を視る目を養う。

「ReTAカフェ」は1980年代から現在までの宗教に関するテレビ番組を収録したビデオやDVDを教材にみんなで車座になって話し合う。

両講座とも受講料は2千円。ネットで募集すると、すぐに定員に達するそうだ。40代を中心に20代から60代まで幅広い年齢層の人たちが宗教を学びに来る。

釈氏は「日本のムスリム人口はこの10年間で倍になっています。イスラム教など宗教が分からないと世界が分からない」と、講座ではあらゆる宗教を俯瞰的に語ることを心掛けている。

練心庵はまた、「生きづらい思いをしている人たちの居場所」として、発達障害などの人たちの当事者研究に取り組む「NPOそーね」の活動拠点でもある。

住職と大学教授の二足のわらじを履き、他に執筆や講演なども精力的にこなす。「手いっぱいなのに、なんでまた」と苦笑しながら「寺子屋はどうしてもやりたかった。大学を辞めてからと思っていましたが、これもご縁ですから」と、忙しさはさして苦にならないようだ。

(西谷明彦)