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自主性尊重 のびのび保育

埼玉県松伏町・真言宗豊山派宝珠院 若盛正城住職

2015年6月3日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

クッキング・コーナーで餅を焼く子どもたちを見守る若盛住職
クッキング・コーナーで餅を焼く子どもたちを見守る若盛住職

幼保連携型認定こども園「こどものもり」園長の若盛正城・真言宗豊山派宝珠院(埼玉県松伏町)住職(69)が保育所を開いたのは1971年のことだ。「長時間、子どもたちが安心して生活できる場所を提供したかった」と振り返る。親が働いている、いないにかかわらず、どのような子も受け入れるために、あえて認可外保育所としてスタートした。

日本の幼児教育について「学校教育を先取りしてしまう傾向がある。小学校に向けての早期教育だという誤解がある」と苦言を呈する。発達の段階を考えると、6歳以下の子どもに対して一方的に教え込む教育は無理があるという。

「こどものもり」では、自ら考えて行動する主体性を大切にしている。園内に絵を描くコーナーやクッキング・コーナーなど様々な場所があり、園児は好きなコーナーに移動して思い思いに遊ぶ。

昼食は決められた時間内に取ればよく、席も自由。長年の経験から「自分のやりたいことをさせてもらっていると安心感が生まれ、落ち着いて生活することができる」と説明する。

異なる年齢の子どもたちが交じり合う異年齢保育も長く実践しており、年上の園児は幼い子に対して思いやりを持つようになる。だから園内で、けんかなどはほとんどない。こうした取り組みは全国的にも珍しく、保育や行政関係者の視察が後を絶たない。

同町の教育委員長も務める若盛住職は、子どもの主体性を育む教育の必要性とともに「学校も子どもも地域で育てることが大切だ」と語る。「地域にはその土地の産業があり、風土がある。それぞれに成り立ちがあり、背景がある。その地域と教育が乖離してはならない」。豊かな文化や歴史を持つ地域性を大切にしながら子どもを育てている。

子どもたちは、過度に競争心があおられていない分、おっとりとした性格になると心配する声もあるが、小学校高学年になると自主性を発揮しだす。

地域に住む大人たちから「小学校もつくってほしい」と冗談交じりに要望されることも。若盛住職は「指示待ちじゃない子どもたちが、これからの社会には必要だ」と、明日を創る子どもたちの活躍を楽しみにしている。

(赤坂史人)