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住民が自発的に万灯講社

東京都豊島区・日蓮宗法明寺

2015年6月17日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

幹線道路の1車線を使って万灯行列は練り歩く
幹線道路の1車線を使って万灯行列は練り歩く

東京のターミナル・池袋駅の前を練り歩く万灯行列。大都会の繁華街に団扇太鼓が響き渡り、道行く人たちの誰もが紙の花で飾った万灯を見上げていく。日蓮宗法明寺のお会式は雑司ケ谷の地域挙げての一大行事で、住民が自主的に講社を結成して盛り上げている。3月には豊島区の無形民俗文化財に指定された。

お会式は日蓮聖人の命日10月13日を中心に各地の寺院で営まれる。同寺では毎年10月16~18日に行われ、遠方からも集まり約50講社2千人が参加する。明治期には10日間にわたり、万灯は200を超えたという。

戦時中の中断を経て戦後は3講社から再開したが、現在は21の講社が組織されている。いずれも地域住民が自主的に立ち上げ、運営しているのが特徴だ。講元はじめメンバーは檀信徒でない人がほとんど。お会式が地域の結束を強める機会となっている。1975年には御会式連合会が結成され、『御会式新聞』を発行して一般紙に折り込んだりフォトコンテストを開くなど、一般の人のアイデアで盛り上げている。

講社は人が育つ場でもある。毎年元気いっぱいに団扇太鼓をたたいていた一人の少年が、青年になって世話役を任命された。子どもを指導し、交通事故に遭わないよう気を配った。その年のお会式が終わって、「初めて楽しくなかった」とポツリ。責任ある役回りとなり、気ままに楽しんではいられなくなったが、それも一人前と認められた証しだ。「自分がしてもらったことを子どもたちに返していく」と、今では若き講元として子どもたちに慕われている。

この地域では、伝統工芸品「すすきみみずく」保存会がつくられるなど、地域文化を残していこうとの意識が高い。法明寺を中心とした町づくりプロジェクトは、日本ユネスコ協会連盟の未来遺産にも登録されている。近江正典住職は「雑司ケ谷は池袋のすぐ近くだが、懐かしい空気が感じられる町。人が人らしく生きられる町の文化を、これからも継承していきたい」と願っている。

(有吉英治)