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寺の供物で母子家庭支援

奈良県田原本町・浄土宗安養寺 松島靖朗住職

2015年7月1日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

「どの寺院でも無理なく継続できる」と話す松島住職
「どの寺院でも無理なく継続できる」と話す松島住職

総務省の2010年の統計によると、日本の母子家庭は約108万世帯で、その多くが生活困窮を抱えていると推測され、子育てと仕事の両立に行き詰まったシングルマザーの悲しい事件は後を絶たない。

奈良県田原本町の松島靖朗・浄土宗安養寺住職(39)は昨年1月から母子家庭を中心としたひとり親世帯の支援活動として、寺に寄せられたお供え物を支援先の家庭に送る取り組みを始めた。

一昨年夏に大阪市の母子家庭支援団体「大阪子どもの貧困アクショングループ」の活動を新聞記事で知ったことがきっかけ。「以前から大量の供物を誰かにお分けできないかと考えていた」と同団体の代表に相談して意気投合。地元の僧侶仲間と「おてらおやつクラブ」を立ち上げた。

活動は同クラブの協力寺院が菓子や果物、飲み物を中心にお中元・お歳暮の洗剤や食用油、のりなどをミカン箱1箱程度にまとめて月に1回ほど、支援先の家庭に直接送っている。全国13の母子家庭支援団体とも提携している。

現在の支援先は東京・名古屋・大阪など45家庭。大量の供物を何かに役立てたいと思っている寺院関係者は多く、活動に賛同する寺院は全国約150カ寺に広がっている。

松島住職は「仏様からの“お下がり”を分かち合う取り組みは、どの寺院でも無理なく継続できる。供物の消費に悩む寺は多いので、さらに活動を広げていける可能性があるのも大きな強みだ」と説明する。

母子家庭は社会的に孤立しているケースが多く、支援先からは「物資以上に、自分たちの存在を覚えていてくれることがありがたい」との反響が目立つという。ある女性からは「再婚が決まったので、これからは支援する側に回りたい」との礼状も届いた。

ただ、「まだまだ問題の深刻さを感じることが多い」。松島住職は「問題を一気に解決することはできないが、“覚えていてくれる”が少しでも生きる希望につながれば。そこを一番大切にしていきたい」と話した。

「おてらおやつクラブ」では協力寺院を募集中。宗派不問。問い合わせは同クラブ=Eメールoyatsu@higan.net(@は半角に置き換えて下さい。)=まで。

(池田圭)