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循環するいのちを実感

長野市・浄土宗正満寺

2015年7月8日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

園児が給食で食べる野菜を自ら収穫する
園児が給食で食べる野菜を自ら収穫する

住宅地と田園風景が交わる一角の3反ほどの畑に、ナスやキュウリ、オクラ、トマトなどの様々な夏野菜が収穫の時を待つ。長野市の浄土宗正満寺に隣接する畑では、季節ごとに様々な野菜が育つ。

畑の世話を手伝うのは、和田典雄住職(69)が園長を務める認定こども園・和田学園の園児ら。食育の一環として、種や苗を自ら植え付け、生育を見守り、収穫もする。いのちの尊さ、生かされていることを理解させるのが狙いだ。

お釈迦様の教えのように「一粒万倍」にと、年長組の園児らはバケツで稲も育てている。さすがに1万粒とはいかなかったが、6千粒ほど収穫できた稲もあった。

また収穫した野菜は全て、給食の食材として調理し、園児らが食べている。その際は、ダイコンやタマネギなどの皮むきを手伝ってもらうこともある。家庭では頑なに食べることを嫌がっていた苦手なピーマンなども、自分で収穫したから食べることができた、という園児もいる。

「これは赤色、これは黄色、これは緑色の食べ物といったプレートやポスターの上だけの食育ではなく、実際に自らの手で循環するいのちを感じられるようにすることが大切」と、副園長の和田典善・副住職(40)は食育の効果を語る。

完全な無農薬栽培はさすがに厳しいが、最低限の減農薬で栽培するので、「多少形が悪くても問題ない」(典善副住職)。園児らが口にすることになるだけに、保護者たちも安心して見守っている。

農作業を指導するのは正満寺の檀家の農家で、園の送迎バスの運転手も務める職員。園内で相談しながら、栽培期間や野菜の種類を決める。秋に向けて、サツマイモやダイコン、ニンジンといった根菜類を想定している。ただ、キャベツなどの葉物野菜は病害虫対策が難しいので扱えず、冬場の作業は寒冷なためできないなど現実的な制約もある。

それでも、典善副住職は「IH調理器が普及し、今の子どもたちは火を見る機会も少なくなっている。園庭にかまどを作り、調理する場を囲む機会を増やしていきたい」と、今後も積極的に食育に取り組む考えだ。

(佐藤慎太郎)