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心つかむ「絵解き」の話術

京都市上京区・浄土宗淨福寺 菅原好規住職

2015年7月15日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

十王図で絵解きする菅原住職。穏やかな語り口で参列者の心をつかんでいく
十王図で絵解きする菅原住職。穏やかな語り口で参列者の心をつかんでいく

「ここに川のようなものが流れています。これが有名な三途の川です」

死後の裁きが描かれた十王図のうちの一場面「秦広王の裁き」の前に立った京都市上京区の菅原好規・浄土宗淨福寺住職(58)は、穏やかな口調で説明を始めた。

法事の後の法話として、「絵解き」をするようになって4年ほどになる。「三途の川というのは、3種類の渡り方がある川という意味です。まず一つ目。善いことばかりしてきた人は、馬に乗って橋の上を渡っていきます。次に、罪の軽い人は、浅瀬をぬれながら渡らなければなりません。人生、気楽に生きて、少しぬれるだけで済む。お薦めのコースです」。ユーモアを交えながら身ぶり手ぶりで語る姿は、まるで菅原住職が十王図の登場人物の一人になったかのようだ。

参列した人々は、いつの間にか話に引き込まれる。絵解きの中には、「逮夜」や「回向」といった法事にまつわる言葉の説明があり、仏教の教えがちりばめられ、仏事の大切さが自然と心に染みてくる。

菅原住職の「絵解き」は今、注目を集めている。浄土宗京都教区内での講習会や、他宗派の研修会に講師として招かれることも増えてきた。「何をどう話すか」。多くの僧侶が抱える悩みだ。菅原住職も「絵解きをするまで、法要後話しても2、3分だった」という。決して話すことが得意だったわけではない。境内にある幼稚園で昔話をしても、園児が自分の方を向いてくれなかった。ある時、絵本の文章ではなく、挿絵を覚えて映像を語って聞かせるようにしてみた。すると、子どもたちの関心が自分に向かってくるのが分かった。今思えば、それが最初の絵解きだったかもしれない。

今では法要後、20分ほど「絵解き」をする。相手の関心が引き出され、仏教についての質問が出ることもある。

「寺離れといわれるが、僧侶は檀家さんの心をつかもうとしてきたか」――。友人の牧師から「仏教は、うらやましい。亡くなったら、初七日、二七日と2年間で10回も話す機会がある」と言われたことがあった。菅原住職は「法事は教化のチャンス。話をすることで関係を深めていくことが大切だ」と力を込める。

(丹治隆宏)