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住民参加で天井画制作

滋賀県東近江市・浄土真宗本願寺派金剛寺 武田智文住職

2015年7月29日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

学生の指導を受けながら本堂の天井画を描く門徒、住民ら
学生の指導を受けながら本堂の天井画を描く門徒、住民ら

「寺に気軽に足を運んでほしい」――武田智文住職(54)の願いが今、着実に実を結びつつある。

滋賀県東近江市の浄土真宗本願寺派金剛寺。京都嵯峨芸術大(京都市右京区)の学生と連携し、同寺を地域の集いの場として復活させようというプロジェクト「新・寺子屋計画」が今年、3年目を迎え、8月16日に区切りのイベント「垣見の夕べ」が開かれる。

「寺は敷居が高いから」。以前、地域の老人が寺に来て話した言葉が頭にあった。金剛寺では子供たちの日曜学校などは開いているが、「今は寺が『風景化』している。地域の交流の場として日常的に来てもらえるようにしたい」。何かできないかと模索する中、老朽化した本堂の再建がそのきっかけになった。

知人の日本画家、仲政明氏(現同大教授)に新本堂の天井画制作を依頼。仲氏は学生と相談し、学生と門徒、地元住民が共に絵を描くなどして寺と地域を結び付けるプロジェクトを立ち上げた。

2013年からの3年計画とし、190面ある天井画を毎年分けて制作。13年は学生と住民らが8月の2日間、本堂に集い、浄土に舞う鳥「迦陵頻伽」を内陣正面の天井画103面に描いた。参加者は「今後も残る天井画を描けてうれしい。近所の寺なのでまた寄りたい」と笑顔を見せ、11月に本堂の落慶法要が営まれた。昨年8月には、内陣余間の47面を学生と県内の高校生が制作。琴の演奏や扇への染色などのイベントも催した。

武田住職は法事で門徒に参加を依頼したり、ちらしを配るなど、様々な形でイベントをPR。「小さい時に寺で遊んだ。懐かしかった」「お盆に息子が帰ってくるのでまた参加したい」などと声が寄せられ、手応えを感じている。

最終年度の今年8月16日には、天井画の完成披露式典を開く。地元・垣見町の歴史を町の長老が語り、学生らがシンポジウムでプロジェクトを振り返る。

武田住職は「寺に行くきっかけになれば十分。その後に教えに親しんでもらえれば。長いスパンで考えたい」。総代らでつくる「催事委員会」を寺に立ち上げた。3年間は大学側が主体だったが「来年からは寺でイベントを企画・運営したい」と意欲を語った。

(飯川道弘)