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食のアイデアで町おこし

千葉県勝浦市・日蓮宗妙海寺 佐々木教道住職

2015年9月9日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

様々な調理法で食べられるシイラ。ソテーを紹介する佐々木住職
様々な調理法で食べられるシイラ。ソテーを紹介する佐々木住職

「勝タン」の愛称で、麺好きにおなじみの勝浦タンタン麺。土日には多くの店で長い行列ができる。そのブームの火付け役となったのが、日蓮宗妙海寺の佐々木教道住職(38)だ。地域の特色を生かした食で町おこしをけん引している。

勝浦タンタン麺は、たっぷりのラー油とタマネギ、ひき肉が入るのが特徴。戦後に市内の食堂で生まれ、冷たい海の仕事を終えた海女や漁師に体の温まる料理として人気となり、多くの店に広がっていった。

勝浦は全国有数のカツオ水揚げを誇る漁師町。だが近年は漁師の高齢化が進み、若い人は仕事を求め町を出ていく。2002年に晋山した佐々木住職は、「普通に布教していたのでは人が集まらない」と、ギターを始めて仏教をテーマにした歌を作ったり講演会を開いたりしてきた。しかし、雇用が生まれないことには、町から人がいなくなり寺も不必要になると危機感を抱いた。

そこで町の有志と11年、「熱血!!勝浦タンタンメン船団」を結成し、ご当地グルメの祭典「B―1グランプリ」に出展。上位入賞を続けたことから、勝浦の知名度が急上昇し町に活気が出てきた。

「お寺はコミュニティーの中心になれる存在。布施を頂くだけでなく地域に布施するのが当然」。小さくても元気でしっかりした共同体を目指す。みんなでつくる町の文化祭「寺市」を開いたり、単身世帯の孤食を防ごうと「ニコニコお昼ご飯」を企画するなど、お寺を住民に開放する催しも積極的に行う。

「勝タン」に続き、シイラによる町おこしも計画中だ。カツオに交じって捕獲される魚だが、市場に出回らず捨てられていた。「高タンパク・低カロリー」で、ハワイではマヒマヒと呼ばれる高級魚。仏教者として命を大切にしたいとの思いもあり、同寺の厨房で町の人と一緒にレシピを研究。伝統の漁師料理「さんが焼き」を応用して「マヒマヒ・ハンバーグ」を作った。農業の仕事も増えるようにと、特産のトマトを使ったソースも開発し、セットにして販売する。

「仏教はより良く生きるための教え。町の人が元気に生きられるよう、言葉で語るだけでなく行動でも示していきたい」。いったん始めた町おこしを、とことんやり抜く覚悟だ。

(有吉英治)