ニュース画像
避難所となった当時を振り返りながら講話する本川住職
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> キラリ ― 頑張る寺社・宗教者リスト> 傾聴は恩返し 相談室開設

傾聴は恩返し 相談室開設

広島市中区・真宗大谷派超覚寺 和田隆恩住職

2015年9月16日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

「ほっ!と相談」が終わった後、広島カープのユニフォーム姿で精神対話士と談話する和田住職
「ほっ!と相談」が終わった後、広島カープのユニフォーム姿で精神対話士と談話する和田住職

広島市の中心街にある真宗大谷派超覚寺(同市中区)は、誰もが心の悩みを相談できる月例の「ほっ!と相談」室を始めた。和田隆恩住職(48)も資格を持つ傾聴の専門家「精神対話士」(民間のメンタルケア協会による資格認定)が数人、本堂で待機して相談に乗っている。

相談室は7月からスタート。8月は5人が訪れた。悩みは子どもの不登校、親の介護、職場の人間関係、持病など様々だ。通常、精神対話士の相談は有料だが、ここでは無料。1人当たり1時間ほど話を聞いている。

会場が寺院である点について、精神対話士らは「空間が広く、一般の事務所に比べて来場者も心が安らぐようです」という。リーダー役の澤原俊英氏(63)=広島県東広島市=は「相談に来る人が、悩みを語り、自分で解決の糸口を見つける環境として、お寺は最適」と指摘する。

和田住職は、この他にも人々の心に寄り添う取り組みを続けている。5年前から毎月「自死遺族分かちあいの集い」を開き、浄土真宗本願寺派広島別院を会場に開く超宗派の「自死に向きあう広島僧侶の会」の事務局も務める。この4月から、龍谷大大学院の臨床宗教師研修にも通い始めた。

在家出身で京都市生まれ。山形大を卒業後、金融関係の会社に就職したが、サラリーマン生活ではノルマ達成ばかりが要求された。「当時は会社の価値観の中でしか生きられず、ノルマが達成できない自分は役立たずだと思いました」

その時、顧客の4、5人の僧侶と話すうちに、別の価値観があることに気付かされた。「今となっては、その人たちが何宗だったかも分からない。ただそばにいてくれて、愚痴を聞いてくれたことで、私自身が変わりました」。30歳で退職して僧侶になり、叔父が住職を務めていた超覚寺に後継者が無く、入寺することになった。「だから今、傾聴に取り組んでいるのは、あの時に自分を助けてくれた恩返しです」

もっぱら相談に来るのは門徒以外の人々だが、「普段の人間関係がないからこそ、話せることもある。お寺では何でも話していいんだという思いが、人々の間に広がってほしいと思います」。

(萩原典吉)