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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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介護者の悩み分かち合う

宮城県塩釜市・浄土宗雲上寺 東海林良昌副住職

2015年10月7日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

「介護者の集い」では介護体験の分かち合いも行われる
「介護者の集い」では介護体験の分かち合いも行われる

宮城県塩釜市にある浄土宗雲上寺の東海林良昌副住職(45)は、介護に携わる人々の支援や交流促進に取り組む市民組織「介護者サポートネットワーク・ケアむすび」の代表を務める。専門家の話を聞き、日頃の介護の悩みを話し合い、介護に関する情報交換ができる場として、月に1度の「介護者の集い」を仙台市内で開いてきたが、今夏から新たに「介護者こころの悩み相談室」を雲上寺仏教文化会館で行っている。

東海林副住職をはじめ、近隣在住の臨床宗教師や臨床仏教師、心理カウンセラーらが相談員として参加し、介護者が抱える心の悩みを個別面談形式で聴いている。ケースによっては、ケアマネジャーを通じて行政や制度の情報を紹介することもある。

介護は、家族内でも一人の介護者に過重な負担がかかる場合が多く、孤立や孤独を感じやすい。介護に追われる中、相談に行くだけでも精神的、時間的に高いハードルがあるため、過度に緊張させないようにと、相談員が僧侶であっても法衣ではなく作務衣や平服姿で対応している。東海林副住職は「一人で抱え込まないように、思いを話してもらい共に悩むことで、少しでも安心・安堵につなげてもらおうと努力している」と話す。また相談者の日程が合わないときには、直接自宅を訪問し、相談に乗ることもある。

「境内の木を眺めたり、仏様がいると思うと落ち着く」と言う相談者や、帰りに本堂で本尊に手を合わせて帰る人の姿もある。「お寺だと安心できるという雰囲気は、社会との接点として重要なのでは」と東海林副住職。

塩釜市は東日本大震災の被災地でもある。「地域のために何かをしたい」との思いから、東海林副住職は2011年から月に1度、市内2カ所の仮設住宅の訪問を続けている。閉じこもりがちになる住民に対し、世間話をしながら、その季節に合った絵を描いてもらい、部屋に飾って楽しんでもらっている。高齢の女性が多く、最近では病気で参加できない人が現れ始めたことが心配だという。

「様々な人々が抱える孤立感、孤独感に対して、地元の宗教者としてこれからも向き合い続けたい」と話す。

(佐藤慎太郎)