ニュース画像
札所山主の総出仕のもと、十一面観音の宝前に表白を捧げる田代化主(中央奥)、徳道上人の御影を前にした鷲尾会長(左)
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

炊事も洗濯も楽しい合宿

福岡県香春町 真宗大谷派蓮臺寺

2015年10月28日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

本堂で子どもたちと一緒に食事する由美さん(右)
本堂で子どもたちと一緒に食事する由美さん(右)

福岡県香春町の真宗大谷派蓮臺寺で25~29日、親元を離れた子どもたちが共同生活を送りながら学校に通う「通学合宿」が行われている。地域・学生ボランティアと共に子どもたちの生活を支える坊守の大場由美さん(53)=中津原校区通学合宿実行委員長=は「自分たちで炊事、洗濯、掃除などを行う中で、基本的な生活習慣を身につけ、自主性や協調性、感謝の気持ち、先を見通す力などを育んでほしい」と願う。

通学合宿は1980年代に福岡県庄内町でスタートした「通学キャンプ」や、静岡県の「仲よし学校」が始まりとされる。地域の大人が子どもたちの生活を支援することで、大人同士の学びやネットワークも促進され、「地域の教育力向上につながる」と全国的な広がりを見せている。

5年前、福岡県の教育委員研修で取り組みを知った由美さんが「今の子どもたちに足りないと言われている『他人を思いやる心』『我慢する力』『たくましさ』などを短期間で培うことができるかもしれない」と、子どもたちの受け入れを始めた。

毎年10人前後の小学生が、床の間や仏間があり、日本家屋の伝統にも触れることができる「寺」という空間で5日間の共同生活を営み、炊事、洗濯、掃除、学習、午後6時の鐘つきなどを日ごとの分担で行っている。

参加した子どもたちは「自分たちで何もかもできて楽しい」と“達成感”を得て、保護者も「手伝いをよくするようになった」と喜ぶ。また風呂などを提供する地域住民からは「久しぶりに子どもの笑い声が聞けてうれしかった」などと好評だ。

由美さんは、寺での生活を通して「見えないものを見えるようになり、温かい心を持ってほしい」「お寺で寝泊まりしたという思い出を持ち、大人になってもまた気軽に足を運んでほしい」と期待する。

通学合宿の他にも、ヨガやプリザーブドフラワー教室なども開いている。そこには「民衆と共に歩み『生き生きと生きるにはお念仏が大事』と伝えられた親鸞聖人のお姿に倣い、地域と共に歩む、人に寄り添える寺でありたい」との共通した思いが込められている。

(杲恵順)