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心癒やして バー1周年

川崎市川崎区・天台宗幸福寺 須藤大恵住職

2015年11月11日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

「お坊さんとしゃべらナイト」で、客に話をする作務衣姿の須藤住職
「お坊さんとしゃべらナイト」で、客に話をする作務衣姿の須藤住職

川崎市川崎区の天台宗幸福寺・須藤大恵住職(57)は昨年春に、地域で様々な悩みを抱える人々の心の癒やしの一助になればと、BOSEカフェバーAmrita(アミリタ)を寺の近くに開いた。

「本来ならお寺の中で話を聴かせてもらうべきなのでしょうが、人々の足がお寺に向きにくくなっています。気軽に立ち寄って仏教に触れてもらいたいというのが願いです」

「アミリタ」は、寺の本尊阿弥陀如来から名付けたが、室内には小さな観世音菩薩像を祀っている。「世の中の音を観る(人の話を聴く)というのが、このバーの趣旨ですから」

寺から100メートルほどの近距離にあり、カウンター10席のみ。住職のいるバーと知っていて相談に来る客もあれば、酒を飲んで帰るだけの人もいる。

法務や出張などがない日は、夜はほとんどアミリタへ顔を出し、作務衣を着て応対する。すると「なぜ作務衣」「僧侶だから」「なんでお坊さんがバーを」と会話が弾む。「じゃあ、ちょっと話を聞いてもらえませんか」と悩みを打ち明けられることもある。

訪れるのは近隣の30~50代が中心。特に女性が多いという。会社や地域での人間関係の悩みなど、いろんな相談が持ち込まれる。雑談風に仏教の話をして理解してもらえることもあるが、深刻な話などは日を変えて幸福寺で聞くようにしている。

法話の会や「お坊さんとしゃべらナイト」というイベントをバーで企画したり、バーに来る人を対象に幸福寺で坐禅会も開いている。

1999年から全日本仏教青年会の理事長を務めたが、「いろんな宗派の人たちと接し、これからの寺の在り方なども学ばせていただいたことで、地域に開かれた寺院づくりが大切だと思うようになりました」と振り返る。

9月27日には1周年を迎えた。「1年間やってみて、お坊さんと話したがっている人が多いと感じました。バーはあくまでも一つのきっかけです。これからは住職がどんどん地域に出て行かねば」と須藤住職。今月13、14日にはバーで縁ができた人たちと共に、比叡山を参拝する。

(河合清治)