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迫力の紙芝居にくぎ付け

新潟県長岡市・真言宗豊山派千蔵院 諸橋精光住職

2015年12月23日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

当初は野外で上演していた。紙芝居に夢中になる子どもたち
当初は野外で上演していた。紙芝居に夢中になる子どもたち

絵本作家の諸橋精光・真言宗豊山派千蔵院(新潟県長岡市)住職(61)は、30年以上前から同寺で催す子ども祭りでオリジナルの紙芝居を作り、子どもたちに披露している。

200人以上が楽しめるようにと縦90センチ、横130センチと通常の紙芝居の約10倍の大きさだ。畳1畳ほどの段ボールにアクリル絵の具で描いている。題材は今昔物語や民話、童話などで、それぞれの物語を絵本に仕立て直す。「子どもたちに内容を伝えるためには、話の核を理解、整理し、面白さを引き出さなければならない」

上演では、声優の右手和子さんの語りと、太鼓や銅鑼、ほら貝を使った効果音が入り、臨場感を引き立てる。それまで走り回っていた子らも静かになり、画面にくぎ付けになる。

諸橋住職は「語りが入ると絵が生き生きと動きだし、物語を子どもたちが真剣に見てくれる。自分の方が紙芝居作りに夢中になっていった」と振り返る。

1983年からこの大型紙芝居を作り始めた。当初は1枚の地獄・極楽図を使った絵解きをしようと考えたが、大きなパネルの置き場所に悩み、場面を切り分け1枚ずつめくることができる紙芝居にすることにした。

紙芝居を作るときには子どものことは考えないという。「こびたり、説き伏せようとしたりはしない。自分が面白いと思うものを、対等な立場で子どもたちに見てもらう。例えば、子どもたちは地獄の話を聞くと、悪いことをすると恐ろしい目に遭うことをしっかりと理解してくれる」と話す。

最盛期は400人の子どもが祭りに訪れたが、少子化で現在は80人ほど。屋台でにぎわった祭りも縮小した。

諸橋住職は「紙芝居を見て、ご本尊を参拝してお菓子を受け取るこぢんまりとした祭りを何とか続けている」と寂しそうに語る。

しかし、30年以上の年月を経て紙芝居に目を輝かせていた子どもたちも大人になり、自分の息子や娘を連れてくるようになった。「幼い頃の記憶はいつまでも残るもの。その時に少しでも仏様の教えに親しんでほしい。その気持ちは変わらない」と笑顔を見せた。

(甲田貴之)