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毎年演奏会、合奏団の拠点

長崎県島原市 浄土宗崇台寺

2016年1月20日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

境内の衆会堂で練習に励むメンバー(後列左端が光宣前住職、その前が竜順住職)
境内の衆会堂で練習に励むメンバー(後列左端が光宣前住職、その前が竜順住職)

長崎県島原市の浄土宗崇台寺で、地元の弦楽器愛好家でつくる「島原室内合奏団」が活動している。全国には数百のアマチュアオーケストラがあるが、寺院を拠点とする団体は珍しい。

バイオリンをたしなむ安藤光宣・前住職(69)を中心に、1969年に発足。毎年8月に定期演奏会「サマーコンサート」を開き、市民音楽祭への出演、地元の福祉施設や保育園などでの演奏に取り組んでいる。同寺では「崇台寺マンドリンクラブ」も活動しており、“音楽の寺”として親しまれている。

現在、合奏団のメンバーは18人で、毎週水曜日に音楽室を備えた境内の衆会堂で練習に励む。光宣前住職は体力的な都合で自身の演奏活動は近年「控え気味」だが、バイオリンの名手の長男・竜順住職(39)がコンサートマスターとして楽団をけん引している。

光宣前住職にとって最も思い出深いのは、91年6月に発生した雲仙・普賢岳の大火砕流だ。43人が犠牲になる大惨事で、崇台寺は死亡した報道関係者9人の遺体安置所となった。

音楽をやれるような空気ではなく練習を休止。「ところが、避難生活を余儀なくされていたマンドリンクラブの一人が『体育館での生活はストレスがたまるばかり。早くお寺で音楽をやりたい』と打ち明けたのがきっかけで、すぐに再開を決めた。合奏団もマンドリンクラブも練習を休んだのはその時1回だけです」

地元には歌舞音曲の自粛ムードもあったが、人の心を和ます音楽の力を重視した判断だったという。数年後、合奏団のために作曲された「普賢岳レクイエム」を復興祈念コンサートで演奏している。

合奏団のメンバーは宗旨不問で、特にサマーコンサートには全国から有縁のプロ・アマの弦楽器奏者も参集し、音楽を通した人との縁が何よりの財産だ。「音楽に限らず広い意味で僧侶が寺の外に出ていくことが社会教化の一助になると思う。“一隅を照らす”思いで活動を続けています」と光宣前住職は言う。

目標は管打楽器も含めたフルオーケストラの結成。過去に地元高校の吹奏楽部などと共演したこともあるが、「やはり交響曲もやりたい。今も夢を見続けています」と笑う。

(池田圭)