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寺史展示室、地域の学び場

茨城県筑西市 天台宗千妙寺

2016年2月10日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

広々とした展示室でゆっくりと寺宝を見ることができる。「今後は子どもたちにも見学してもらいたい」と語る阿純孝住職
広々とした展示室でゆっくりと寺宝を見ることができる。「今後は子どもたちにも見学してもらいたい」と語る阿純孝住職

茨城県筑西市の天台宗千妙寺に昨年開設された千妙寺・寺史展示室は、檀信徒や地域住民にとって寺宝を通じて地域の歴史を知ることができる学びの場になりつつある。

室内にはガラスケースが並び、掛け軸や古文書、法具が展示されている。その中には護法童子がかんで同寺7世亮禅に投げ返したとの伝説がある「銅製五鈷杵」や、南北朝時代の「絹本著色 護法童子」など市指定の文化財もそろっている。

同寺が所蔵する約3600点の寺宝を1回の展示で十数点、年に2、3度入れ替えている。拝観は午前9時から午後4時までで、定休日はなく、拝観料も無料。

檀信徒はもちろん、文化財を管理する市や県の職員、近隣の小中学校の教師などが拝観に訪れる。また筑西市の観光ガイドマップには、千妙寺と共に観光スポットとして紹介されるようになった。

阿純孝住職(78)は「寺の宝物は寺で守ることで、檀信徒や地域の人々に寺の歴史的価値を改めて認識してもらうことができる」と話す。

同寺は承和年間(834~48)、慈覚大師円仁の開基とされる。1351(観応2)年に亮守が中興して以後、台密三昧流の灌頂道場として隆盛。室町時代から戦国時代にかけては末寺・門徒寺院600以上を数える大寺院だった。

しかし近年には無住の時代もあり、堂宇は荒れ果てていた。前住職の遺言で住職に就いてほしいと頼まれた阿住職は荒れた堂宇を見て、引き受けなければと感じた。当時は東京都目黒区の圓融寺住職であり、天台宗の宗務総長の職にもあったが、それでも総本堂の解体・復元修理、寺務所の新設を果たした。

これまで寺宝を県立歴史館に寄託していたが、展示室を設けたいと考えて歴史館の担当者に相談したところ、設計に関する助言や管理のノウハウなどを教わることができた。

現在では、同寺の寺宝の価値を見直そうという動きもあるという。「寺宝があっても檀家が見る機会がなければ宝の持ち腐れ。地域の歴史を学ぶこともでき、今後は子どもたちにも見学してもらいたい」と語る。

(甲田貴之)