ニュース画像
大谷光淳門主が臨席した開繙式(18日、龍谷大大宮学舎本館)
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> キラリ ― 頑張る寺社・宗教者リスト> 「妙音」で人と人をつなぐ

「妙音」で人と人をつなぐ

神奈川県鎌倉市 本門佛立宗顕証寺

2016年4月6日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

音楽を中心につながる参加者ら(2012年の「追憶のひととき」)
音楽を中心につながる参加者ら(2012年の「追憶のひととき」)

神奈川県鎌倉市七里ガ浜。江ノ島電鉄の線路が湘南の海と並行して走るこの辺りは鉄道ファンや観光客らにとって絶好の撮影ポイントになっている。七里ガ浜1丁目にあり、門前を江ノ電のレトロな車体が通過する本門佛立宗顕証寺には、毎日のようにカメラを手にした人たちが「ここで写真を撮ってもいいですか」とやって来る。

信清宏章住職(49)はそうした“参拝者”を快く受け入れている。檀家だけでなく地域の人々ら多くの人たちに開かれた寺づくりに取り組む信清住職は、「これが縁となってうちのお寺のことを知ってくれればありがたい」と言う。

そして、開かれた寺院であるために今、特に力を入れているのは「新しいお盆の形」を創出し、定着させることだ。

7月の盆は従来通りに法要や檀家参りを行っているが、2008年から顕証寺墓苑の使用者や地域住民を対象に「追憶のひととき」を始めた。

法要は抜きで、音楽好きの信清住職らしく音楽会、そして食事会(交流会)をメーンに据え、「妙音」の調べに浸りながら亡き人を偲ぶ催しだ。

屋台も出て、毎年数百人が訪れ、堂内、境内がにぎわった。

2年前からは、医学や科学、芸術、ジャーナリズムなど各分野の第一線で活躍する人たちを講師に招き、異分野とのコラボの中から、仏教、そして寺院の新たな可能性を探る「佛立大学講座」に模様替えしたが、音楽会は引き続き開いている。

「『法華経』に出てくる妙音菩薩は美しい声で十方世界に教えを広められたように、音楽は人種や国境を超えて人と人をつなぐ力があります」

「追憶のひととき」や「佛立大学講座」に参加する様々な人たちとの交流を通し、信清住職が改めて感じたのは「人と人のつながりの大切さ」。講座に参加した女子高生から届いた手紙には孤独感に悩む思いがつづられていた。

人間関係が希薄になり、一人一人が個々バラバラで「砂粒化」しているとされる現代社会にあって、顕証寺がそうした人々をつなぐ役割を担えるようにと信清住職は願っている。

(西谷明彦)