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葬儀改革からスタート

愛知県江南市・臨済宗妙心寺派永正寺 水谷大定住職

2016年5月18日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

弘法大師の御正当日、法要を終えて歓談する水谷住職。後ろは田楽やビールを求めて並ぶ参拝者
弘法大師の御正当日、法要を終えて歓談する水谷住職。後ろは田楽やビールを求めて並ぶ参拝者

宗派を超えて弘法大師信仰が根付いている愛知県江南市の臨済宗妙心寺派永正寺で、境内の藤棚が満開を迎えた4月下旬に弘法大師の御正当法要が営まれ、檀信徒や地域住民が家族連れで駆け付けて、田楽やビールで盛り上がった。「連休に子ども連れで遊びに行けば、親御さんの経済的負担が大きい。でも、ここでは無料で遊べます」と、水谷大定住職(70)の顔もほころぶ。本堂からは走り回る子どもたちの歓声が上がった。

水谷住職は「お寺は地域の人々の交流の場であり、縁をつなぐ懸け橋」と話す。その言葉通り、永正寺では毎日のように行事が行われている。

月曜から金曜まで毎朝のラジオ体操、独り暮らしの檀信徒を昼食に迎える毎月28日の「和やかランチ」、本堂での「お寺deコンサート」、毎回約50人が参加する婚活の「良縁・寺カフェ」、月例の坐禅会や朝市、落語会など。行事の日には茶所のソフトクリーム・サーバーがフル稼働して参拝者をもてなす。また檀信徒が直面している遺産、相続、労務などの問題の相談会も以前は日を決めていたが、今は常時相談に乗っている。

永正寺がそれらの行事を始めたきっかけは、17年前に着手した葬儀改革だった。

遺族や関係者が心から亡き人を見送る葬儀を実現したいと、葬祭業者に頼らない葬儀を始めた。本堂を会場に、檀信徒らに有償ボランティアのスタッフを依頼し、費用を半額に抑えた。香典の返礼には、その場で3分の1相当の商品券を手渡す方法(「蓮の実」と命名)を考案し、遺族、参列者の双方から香典返しの煩わしさが無くなったと喜ばれた。葬儀の演出のため本堂の音響・照明設備を本格的に整え、大スクリーンを装備した。その設備を使えば、ホールにも劣らないコンサートが可能になった。

前総代で江南市在住の高見充氏(76)は「住職がいろんな行事を考案され、お寺に来ていただけるような雰囲気をつくってくれた」と喜ぶ。水谷住職は「『顧客満足度』の視点に立って、葬儀という寺の基本からスタートし、それに付随する形で様々なイベントが可能になった」と振り返った。

(萩原典吉)