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聖書を講談に 自作を演じる

東京都渋谷区・日本基督教団代々木中部教会 北川正弥牧師

2016年6月22日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

約10年間、各地の教会で語る
約10年間、各地の教会で語る

モーゼの出生譚や怪力を誇る勇士サムソンの秘密。教会で聖書が語られるのは当たり前だが、この日の語り手は十字架前に設けた高座に座る着物姿。様々な登場人物を声色で演じ分け、手にした張り扇の音が礼拝堂内に響く。

演じる講談師は神田ナザレさん。北川正弥・日本基督教団代々木中部教会牧師(50)の芸名だ。

北川牧師は妻も神学校の同級生で牧師夫婦。卒業後、主任牧師となった教会は、病気で約8年で退いた。1年の休養後、2005年に駒澤教会(東京都世田谷区)に妻が主任牧師、自身は副牧師として赴任した。

伝道のために何ができるか、妻の活動を支援できないかと模索した。子育て中に見たテレビ番組「にほんごであそぼ」に出演の神田山陽さんの話が面白く、聴いたことがなかった講談に足を運んだ。山陽さんの一門の会で感心したのは神田陽子さん。「聖書を講談風に話す人がいればいい」と思い付き、チラシで陽子さんが開く講談教室を知って、通い始めた。

「牧師として、ゆくゆくは聖書を講談で語りたい」と入門を希望し、半年後には社会人弟子に認められ、芸名をもらった。話術を基礎から鍛えられ、創世記の「カインとアベル」の話を手始めに、オリジナルの聖書講談を作った。作品は旧約を中心に30近くに及ぶ。新約で苦労するのはイエスがクリスチャンに特別な存在であること。どう演じても聴く人が満足しないため、イエスを出さずに、弟子の目線で講談化した。

「士師記」などは、戦争の話が続き説教で取り上げるのが難しいが、戦記物というジャンルがある講談の方が扱いやすいという。「死ぬまでに聖書全体を講談にしたい」と語る。師匠からは「とにかく聖書の話をしなさい。他にやっていない。現時点で日本一なのだから」と励まされる。

各地の教会に招かれて約10年間、出演を重ねた。13年、代々木中部教会の主任牧師に就任。「講談を始めたおかげで牧師としても再起でき、迎えていただいた」と振り返る。

年に1度、神田陽子師匠と共演の「代々木中部教会寄席」を開き、今年は11月20日だ。

(山縣淳)