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世代超えて楽しい思い出

滋賀県甲賀市・浄土宗誓光寺 奥山善文住職

2016年6月29日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

風鈴やちょうちん作りなど、毎年様々な催しをしている
風鈴やちょうちん作りなど、毎年様々な催しをしている

町の大半が山々に覆われる滋賀県南端の甲賀市信楽町。中でも浄土宗誓光寺のある朝宮地区は緑が深く、山間には茶畑が広がる。そんな豊かな自然の中、「大きくなった時にお寺での楽しい一日を思い出してほしい」と、奥山善文住職(66)は、30年以上にわたり夏休み恒例の「子ども道場」を開いている。

奥山住職は町役場の企画室広報課に勤めながら寺を護持してきた。その経験を生かして様々な教化活動を展開しており、その中の一つが1983年から続けている「子ども道場」だ。

昨年は、幼稚園児~小学6年の子ども24人と両親が参加。ペットボトルでオーロラランプを作り、子どもたちは「約束を守る」「宿題を早く終わらす」などの仏様への「ちかいのことば」を書き込んだ。過去には縦約2メートル30・幅約4メートルの「ジャンボ一枚起請文」を作ったこともある。「楽しみながら仏教に触れてほしい」との願いが込められており、直前に迫った今年の開催に向けても準備を進めている。

そして、毎年欠かさず行っているのが、住職が企画・編集した工作経本の「ちかいとおつとめ」作りだ。四誓偈や「食前・食後のことば」がプリントされた5枚の色紙にはさみを入れ、のりと接着テープを使うと、オリジナルの経本を完成させることができる。子どもたちは自分で作った経本を使って座り方や合掌の仕方を学び、読経する。

経本の中には、続けてお寺に通いたくなるような工夫も施されている。「南無阿弥陀仏」のシールを1文字ずつ貼るページがあり、法要や行事に参加するとシールが1枚もらえる。そして6枚全部集めると記念品が贈呈される。

母親となって改めて子どもと道場に参加した30代の女性は、「子どもの時に4枚しかシールを集められなかったので、今度こそ全部集めたい」と、自作の経本を手にやって来たそうだ。

過疎化に伴って年々参加者は減少しているが、「かつての子どもたちが、今度は親となって参加してくれるのが一番うれしい」と奥山住職。「過疎化の流れは避けられないかもしれませんが、世代を超えて輪が広がっている。ここには33年間の取り組みの一つの答えがあるのではないでしょうか」と目を細めた。

(杲恵順)