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声優の縁で女性参拝者増

東京都目黒区 浄土宗系単立五百羅漢寺

2016年7月6日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

境内の売店に設けた「声優さんのコーナー」を紹介する無垢品執事
境内の売店に設けた「声優さんのコーナー」を紹介する無垢品執事

東京都目黒区の浄土宗系単立五百羅漢寺では近年、若い女性の参拝者が急増している。人気アニメの男性声優との縁がきっかけとなり、新たな仏縁が広がりつつある。

仏像をモチーフにした漫画『ナヴァグラハ』は、主人公が仏の化身となって悪と戦う物語。昨年、この漫画の原作者で、ともに声優でもある小野大輔さんと近藤孝行さんの対談、写真撮影が数百体の仏像が祀られる同寺で行われた。対談に立ち会った無垢品宗生執事は「声優のお二人は仏像について熱心に尋ねられ、本当に好きなのだと驚きました」と振り返る。

五百羅漢像に感動した二人は、その後、ラジオや雑誌取材でたびたび五百羅漢寺を紹介。これを契機にファンの参拝が増え、寺では声優のサインや写真の展示の他、ファンを対象とした拝観説明会も始めた。

ファンらは、声優の二人が滞在した所を自らも訪れることを楽しむ一方で、仏像にも高い関心を示す。「仏像を間近に見る貴重な体験だった」「また仏像を拝みに来たい」「お寺と少し近づけたように思う」など、仏像や寺院に関する感想が数多く寄せられる。同寺に安置されている羅漢像には、先代住職がそれぞれ名前にちなんだ金言名句を付けている。笑顔が特徴的な「頂生尊尊者」には「自分が笑えば相手も笑う」などと、おのおのの像に拝観者の胸に響く言葉が添えられている。「言葉に感動して、拝観後に泣きながらお堂を出ていく人もいる」という。

無垢品執事は、縁を大切にしたいと声優の二人と手紙のやりとりを続け、今年の1月には彼らが司会を務めるラジオ番組にも出演。リスナーから「仏像に関心があるだけで、信心を持たない自分がお寺に参ってもよいのでしょうか」といった相談を受け、「声優さんを通じて若い世代の声を聞くことができた。若い人は宗教との関わり方が分からず躊躇している状態だと感じた」と語る。

この他にも、同寺では財布供養やヨガ教室、哲学の勉強会など新たな取り組みを次々と企画。佐山拓郎住職は「仏縁のきっかけは様々でいい。そこから奥に入りやすい環境をつくることが肝要だ」と話す。

(甲田貴之)