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イラストで仏教と縁結び

京都市中京区・浄土宗西山禅林寺派瑞泉寺 中川龍学住職

2016年8月31日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

創作は寺務所の一室で、コンピューターで行う
創作は寺務所の一室で、コンピューターで行う

2005年にドイツの美術出版社の「今世界で注目すべきイラストレーター」の一人に選ばれた京都市中京区の浄土宗西山禅林寺派瑞泉寺の中川龍学住職(50)は、これまでに多くの雑誌や書籍、絵本の挿絵等を担当してきた。国際的に高い評価を得る一方、地元京都の寺院や門前の商店街のポスターなども制作し、イラストを通じて、地域の人々が仏教と出合うきっかけづくりにも努めている。

作品は単調な線や色使いを基調とし、版画や切り絵の雰囲気もあり、「ポップン仏陀」という作品展を開いたこともある。

「本来、仏像は仏教を広めようと、人々の心を掴むために造られたポップ(=大衆的)なものでしたが、今では重く難しいものになっています。かつてのきらきらしたポップな仏像が甦ればと思いました」

瑞泉寺は三条河原に建てられた豊臣秀次ゆかりの寺院で、中川さんは3年前に晋山。

子どもの頃から水木しげる氏に憧れ、漫画家になることが夢だったという中川さんは、佛教大で仏教美術を学び、漫研に所属。夢はかなわなかったものの卒業後、リクルート社に就職して広告ディレクターを経験したことが、イラストレーターになるきっかけとなった。

6年で退社したが、その後も法務の傍ら、先輩や同僚から依頼を受けて広告用のイラストを描き続けた。クライアントの要望通りに、いろんなタッチのイラストを素早く描いて重宝されたが、「中川さんの作風で」と言われると筆がまったく進まなかった。

転機は35歳の時。仲間と二人展を開くことになり、「自分のオリジナルとは何か」と考えた。「仏教」や「京都」「浮世絵」をテーマとし、手書きからコンピューターでの創作に変え、幾何学的な雰囲気も漂う現在の作風を生み出した。

同じ頃、浄土宗西山深草派総本山誓願寺の小島英裕本山課長(当時)から依頼された作品が「面白い」と評判となり、以来、門前町の新京極商店街の様々な広告や、通り沿いの寺院の御朱印帳も手掛けている。

「仏道修行はまだまだですが、せめて私の持つイラストの技術が仏教興隆の一助になれば幸せです」

(河合清治)