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宗派超え忍性菩薩を顕彰

奈良県三宅町・浄土宗浄土寺 藤田能宏住職

2016年9月7日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

紙芝居で忍性菩薩の活躍を紹介する藤田住職
紙芝居で忍性菩薩の活躍を紹介する藤田住職

奈良県三宅町屏風の浄土宗浄土寺・藤田能宏住職(72)は、ハンセン病患者救済などに尽くした地元出身の真言律宗の僧侶・忍性菩薩(1217~1303)の業績顕彰に宗派を超えて取り組んでいる。顕彰奉賛会の会長を務め、「三宅町の偉人として地元や一般の人にもっと知ってほしい」とイラストブック発行、記念碑造立などを行っている。

忍性菩薩の700年遠忌(2002年)を前に、菩薩ゆかりの神奈川県鎌倉市の真言律宗極楽寺から「生誕地の屏風に記念碑を建てたい」との話があったことが顕彰活動のきっかけ。住民が寄進した自坊の近くの土地に「忍性菩薩御誕生之地」と刻んだ石碑を建立し、01年5月に除幕式を行ったが、町長、県会議員、商工会、関係寺院らが出席するなど「思いの外、地元の関心が高まり」、奉賛会を設立した。

史跡散策会などで記念碑を訪れる人が増え、案内用に現代風の絵と文で忍性菩薩の生涯を紹介するイラストブックを自費で制作し、地元の小中学校などにも配布したところ好評だった。19日まで奈良国立博物館で開催中の忍性生誕800年記念特別展では、同館がこのガイドブックをアニメ化し、会場で上映している。

絵は、浄土宗西山禅林寺派瑞泉寺住職でイラストレーターの中川龍学氏が描いた。新作カットも追加されたアニメでは、歌手の南こうせつさんがナレーションとテーマ曲を担当し、奈良博としては初のアニメ上映の試みとなった。

また地元の有志が制作した忍性菩薩の紙芝居は自らが実演。史跡散策に訪れる人たちや自坊の関係者に「押し付けで見せてきた」と苦笑する。

近年、奉賛会の会員が増えたため「忍性さんの会」に改組し、今月4日に発会式を行った。会長は退くが「紙芝居などで忍性菩薩のことをもっと広めていく人を育てたい。イラストブックは昨年度までに7千部を出したが、住職引退までに計1万部を配り終えたい」という。

彫刻家で浄土宗正楽寺(奈良県橿原市)住職の吉水快聞氏に制作依頼した木造の御影像は年末に完成し、浄土寺本堂に祀る予定。

(武田智彦)