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保育園拠点に子育て支援

京都市東山区・臨済宗東福寺派大本山東福寺塔頭天得院 爾英晃住職

2016年9月21日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

自ら考案した園内のアスレチック施設と爾住職
自ら考案した園内のアスレチック施設と爾住職

京都市東山区の臨済宗東福寺派大本山東福寺に向かう臥雲橋を渡ると、子どもたちの元気な声が聞こえてくる。塔頭・天得院に園舎を構える東福寺保育園の園児たちだ。境内の園庭には園長の爾英晃住職(46)が考案した木製のアスレチック施設・ビオトープがある。木に登ったり、森の中を駆け巡ったりのイメージで、池にはアヒルが泳ぎ、夏にはカブトムシも飛んでくるなど、街中にありながら自然を再現した遊び場でもある。

園児は現在78人。園舎の一番大きなホールは「ののさまひろば」と命名し、他にも「観音さまひろば」「地蔵様ひろば」があり、子どもたちが自然な形で仏様と触れ合う。園庭の滝の上にも地蔵が安置されている。

爾住職は「いつも自分たちの周りには仏様がいて、見守ってくれているというコンセプトで造りました。子どもたちには『生かされているという感謝の気持ちを持っておこうね』と呼び掛けています。登園時や帰宅時に仏様に手を合わせる。それが一番の情操教育だと思います」と話す。

園舎は、京都市の委嘱を受けて児童館・学童クラブにもなっており、15人ほどの小学生が通っている。また爾住職は、地元の月輪地域・子育て支援ステーションの代表を務める。「地域社会の中で、できる限り子育て支援をしたいと思い、保育園のノウハウを使いながら幅広い活動をしようと考えています」

ただ、この5年くらい前から保護者の意識が変わってきたという。「以前は保護者が子どもを『預かっていただいている』、こちらは『預けていただいている』という関係でしたが、だんだんと『お金を払って利用している』という感覚の人が増えてきました。子育てをこちらに任せ、クレームも多くなり、保育士さんの負担も増えてきました」

そのような現代の風潮を危惧しつつ、爾住職は「どこまで子育て支援をすればいいか、迷うところでもあるんですが」と語りながら、「一生懸命に仕事をしている親ほど、一生懸命に子どもと関わっているように見えます。子どもたちには感謝の心を忘れずに、社会の中で、自分と他人を大切にして生きていける力を身に付けてほしいと思います」と話している。

(萩原典吉)