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心境語って自分に出会う

大阪府高石市・浄土真宗本願寺派楷定寺 藤岡延樹副住職

2016年9月28日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

「説教円坐」で参加者の話に耳を傾ける藤岡副住職
「説教円坐」で参加者の話に耳を傾ける藤岡副住職

大阪府高石市・浄土真宗本願寺派楷定寺の藤岡延樹副住職(46)は「説教円坐」と題した法話と語り合いの会を開いている。「語り合いの内容は自由だが、話を進めると『今、私は何を思っているのか』ということに行き着く。すると自分では分かっていなかった自分に初めて出会う、ということがある」と話す。

龍谷大在学中に西光義敞・同大教授が提唱する真宗カウンセリングに関心を持ったことがきっかけでカウンセリングや心理学を幅広く学び、心理療法などに関する様々なワークショップを開いている。

いずれも宗教色は出さないが、常連の参加者から「仏教の話を聞きたい」との声が多く聞かれるようになったため、今年から法話を交えた説教円坐のスタイルにも挑戦している。毎月1回程度の開催で、参加者10人前後の少人数制。藤岡副住職の法話の後、円座になり、ファシリテーター(世話人)の進行でお互いの今の心境などを語り合う。

参加者の話は法話の感想や個人的な悩み、とりとめのない思いなど様々だが、それらに対して「正解」を答えるのではなく、「なぜあなたはそう思うのか」と丁寧に問い掛けていく。

「するとその人は『今、自分がどこにいるのか』を受け止めていく。そして、その人がその場にいる存在感がありありと増し、その人がその時点で抱えている問題が消える、ということが起こることがある」

説教円坐では参加することで得られる効果や利益を問題とはしない。「目的や効果、意味を求める世界や価値観を超える地平に座ること」が醍醐味で、「なぜかは分からないが、不安がなくなった」との感想も聞かれるという。

西光氏は「仏教の法が生き生きとはたらく」要諦として「法話」に加え、その場にいる者の「信仰告白」と「対話」の調和を説いた。これら三つの相互作用を通して、仏法の味わいと自己究明を深めていくイメージが説教円坐にはある。

藤岡副住職は、円座の場にはたらく力が何なのかは「表現しがたい」としつつも「理屈やルール、理由づけをせず、型にはまらない。それが許される空間を守っていきたい」と話す。

(池田圭)